第24話 スミスの新たな道(前編)

 マツリソウ:人間の皆さんこんばんは、ナレーター兼メイドのマツリソウにございます。快気祝いの後に空間管理局からの連絡を待つ間、魔界に滞在する事になったスミス様。何やら新たな道を模索しておられるご様子、果たしてスミス様の導き出す答えとは?


 快気祝い翌日 魔界時間18:54 帝王都サタンヘイルダム内マンション


 スミス:神は天地創造をしたおごりから差別意識と出世欲が強くなり傲慢ごうまんさを増し、今では他界の者達を苦しめる。対して魔界の魔族は神の様な奇跡を持たないが故に努力と探求、そして助け合いと慈愛じあいの精神が強くなった・・・俺達が教会のミサで受けた教えとは真逆なんだが、これが揺るぎなき真実なんだな。


 快気祝いに撮った画像を眺める


 スミス:魔界の真実を知った異界の魔法使い瑠空は多くの命を奪った魔族への贖罪しょくざいのため魔法の杖を捨て医学の道を進んだ。医療現場で奮闘ふんとうする医師達は俺の目には英雄に映った。


 ニュース番組が流れる


 キャスター:天界宇宙の異世界転生特措法いせかいてんせいとくそほうにより被害を受けた空間転移事故による異世界勇者や民間人の措置に魔界宇宙中央政府は本人の申し出に限り永住・就労権を与える事を決定しました。


 スミス:重い腰の人間の政府と違って対応の迅速さは見習う所があるな♪


 インターホンと共にモニターに映る


 隣人:スミスさん、ちょっと良いかしら?


 スミス:ああ、今行く。


 隣人:ごめんなさいね。コレ、肉じゃがなんだけど作り過ぎちゃって。


 スミス:(そして、魔界の集合住宅はジャパニーズご近所付き合いスタイル)助かる、頂こう♪


 隣人:まだ管理局から連絡ないの?


 スミス:ああ、俺の居た世界の座標特定に難航してるらしい。 


 隣人:不謹慎ふきんしんだと思うけど、私はスミスさんにはずっと魔界に居てほしいと思ってるわ。


 スミス:それについては正直迷っている、このまま帰って良いものかどうかとな。


 隣人:それならここに行ってみなさいな♪


 職安のホームページを見せる


 スミス:すこやかワークス?


 隣人:ここに名物職員さんがいるのよ、スミスさんみたいに悩んでる人に人気のある方なのよ〜♪


 スミス:ふむ、行って・・・みるか。


『すこやかワークス』


 相談者:・・・ていう感じなんスけど。


 ???:アンタね、そんな浮ついた学生気分じゃ職なんて見つかんないよ。出直して来な。


 相談者:う、ウス。


 ???:ハ〜イ、次の方〜。


 スミス:宜しく頼む。


 ???:人間の相談者とは珍しいねぇ。それで?どんなお悩みなんだい?


 スミス:ここは職安だろう?聞くのはどんな職をお探しですかではないのか?


 ???:アッハハ、そりゃそうだ♪座りな、話聞こうじゃないか。


 後編へ続く・・・






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