第19話 初期地点
どうやら無事にイベントフィールドに着いたみたいだ。
皆を確認すると、アーサー、ジーク、ジャンヌ、ランスロット。全員イベントフィールドに来れたみたいだ。
正直住人はイベント怪しいかな?そう思ってたけど杞憂だったみたいで良かった。
安心して周りを確認してみる。
なんかかなり暗いなぁ。そう思ったが当然である。どうやら私達は洞窟の中に転移させられているらしい。
「洞窟か…。みんな!まずは集まってくれ!」
そう言われてトウカを含む5人は一箇所に集まる。
「みんな、わかってると思うがどうやらここは洞窟の中みたいだ。しかも、風を全く感じない。ここは洞窟のかなり奥だろう。」
「そうだな!パッと見足跡も1つしか無いし、気配も感じない。恐らくこの辺りにはモンスターはいないだろう。」
「そうだねぇ、僕も
「それはいい事だけど、拠点はどうするの?」
この時トウカは
(あっ、またなんかいってる〜)
そんな感じでボケーっと立っているだけである。形だけのリーダーだ。
「あぁ、私もそう思う。モンスターの気配の無さ、足跡もほとんど無いのは・・・」
「ここから少し行った所にこの洞窟の主がいるはずだ。そいつを倒せばひとまず安全になるだろう。」
そう言った時のアーサーは凶悪な笑顔で満ちていた。
戦闘狂のアーサーは政務から開放されて、そのストレスを発散出来るいい機会だと昂っているのだ。
「あー、また出たわ。アーサーがこうなると手がつかないのよね…はぁ。」
「ガハハハハハ!アーサー!ちゃんと俺にもやらせてくれよ?」
「僕はぁ、トウカちゃんと一緒に居られたらいいかなぁ。」
(# ゜皿 ゜⊂彡))Д´)・∵. グハッ!!
「トウカ?また変な事言われたら貴方もこうしていいからね?いや、むしろしなさい。」
ランスロットが変な事を言い、それにトウカが何か反応する前にジャンヌが過剰に反応して今もボコボコにランスロットを殴っている。
・・・・・・こわい。
「すっ、すみませんでした…も、もう、やめて・・・」
南無・・・・・・
「君たち?周りにモンスターが居ないとはいえ、ここは洞窟だよ?もっと緊張感を持ちなさい。」
アーサーはそう言っているが、今にも走り出しそうなぐらいウキウキしているのが見てわかる。全く説得力が無いのだ。
「はぁ、わかったわ。それで、これからどうするの?」
「そうだな…。ジャンヌの魔法でここの主の場所はわからないか?」
「そうね…。洞窟だけどここには精霊が沢山いるから多分大丈夫よ。」
「精霊?」
トウカは話の中で唯一気になった精霊について、つい口に出してしまう。
「あら、トウカは精霊について知らないの?」
「うん!知らない!」
「そうね、精霊はこの世界に存在している魔力の塊が具現化した生物よ。私達エルフのように強いま魔法適正のある種族の内の極一部の人だけが見ることが出来るの。そして、その中のさらに極一部の人は精霊に語りかけて協力を得たり、その精霊の魔法を使うことが出来るの。その魔法は【精霊魔法】と呼ばれているわ。」
「なるほど!!つまりジャンヌはすごい人なんだね!?」
何も分かっていないトウカである。
「ガハハハハハ!そうだぜ!こいつはすげぇんだ!年相応nがはっ」
今度はジークが先程のランスロットみたいにボコボコにされている。
・・・・・・こわい。
「ジャンヌ?いい歳して遊んでるんじゃないよ。私は早く戦いたい…じゃなくて早くここを安全にしたいのだよ。」
「んんんんん???今なんか言ったかな?」
「アーーサーー?」
「いや、何も…。ひとまず道を教えてくれないか?」
笑顔のジャンヌと同じく笑顔のアーサー。似た所があるのか、この2人は軽口?が叩けるぐらいには仲がいい…はず…。
そんな事は置いといて、ジャンヌはアーサーに言われた通りに精霊に語りかける。
「¥€$¥€$¥¥$€・・・¥$€¥¥$・・・」
何語を話してるのか全くわからなかった。少なくとも日本語ではない。もしかしたら、外国の言葉かもしれないし、この世界特有の言葉かもしれない。
しばらく会話をしていたが、その時の姿は時折見える光の玉がジャンヌの周りに飛んでおり、元々の容姿の良さも相まって洞窟ではあるが、とても神秘的に見えた。
ジャンヌが一息つきこちらを向く。どうやら精霊との会話が終わったらしい。
「みんな。場所がわかったわ。どうやらここには
「なるほど
「まぁこんな洞窟だからな!気配も感じないぐらいだし、そんなもんだろ!ガハハハハハ!」
「トウカちゃんわぁ。僕がどんな相手からも守ってあげるからねぇ。安心していいよぉ。」
「あっ、うん。ありがと?」
トウカは初めて会った人達と初めての冒険という事もあって緊張していたが、何気に
「ジャンヌ!場所はどっちだ?早く殲滅してここを安全地帯にするぞ。」
「えぇ、そうね。こっちよ。みんな着いてきてね。」
そう言ってジャンヌを先頭に洞窟の奥へと進んでいく。
もうこの洞窟の終盤である場所だったのか、特に敵は見当たらなかった。
・・・・・・数分後
洞窟の最奥へと辿り着いた。
そこは今まで何も無かった細い道とは異なり、少し広い空間が広がっていた。
天井に穴が空いているのか光が
それら全ての自然が洞窟の中とは思えないぐらい、いい感じの雰囲気を
しかし、それを台無しにしている存在がこの空間の中央にいた。
グチャ・・グチャ・・・グチャ・・・・・・
響き渡る肉を齧る咀嚼音。
口から元々鹿のような生物だろう存在の血を溢れ出させ、その大きなギバには肉片がこびり付いている。
そのあまりにリアルな描写により、トウカは少し気分が悪くなってしまう。
本来、モンスターは死んだらポリゴンとなって消えてしまうのだが、ここはそう言う演出なのか、モンスターどうしでは消えないのか、そのままの状態で残っている。
グチャ・・グチャ・・・グチャ・・・・・・
「ひぃっ!」
再度響き渡る咀嚼音。その音にトウカは耐えられず、つい声を出してしまう。
その声に反応して
目が合ってしまう。その瞬間
そして、こちらに向けて走り出す。
『グガアアアアアアア!!!』
トウカはびっくりして目をつぶってしまう。
その時聞こえてきたのはボトッと何か重たいものが落ちたような音だけであった。
目を開けるとそこには剣を納刀しようとしているアーサー。心配そうにこちらを見つめているジャンヌ、ランスロット。笑いをこらえているジークだけであった。
「トウカ様。大丈夫でしたか?申し訳ございません。もっと早く処理するべきでした。」
「あっ、ううん、大丈夫。私の方こそ心配かけてごめんなさい。」
「もう!トウカったら!」
ジャンヌにそう言われたと思ったら突然抱きしめられた。ジャンヌの豊満な胸を押し付けられて息ができない。慌てて押し返すも力が強くて振り解けなかった。
「おいジャンヌ!お前の無駄にでかい胸でトウカが死にそうになってるぞ!!」
危うく窒息仕掛けたが、ジークの一声によって一命を取りとめた。
助かった。そう思ってたお礼を言おうと思ったが、既にジークは倒れていた。
・・・・・・南無…。
ちなみにランスロットはこそっと羨ましそうに見ていたが、それもバレていてジークと一緒に倒れていた。
そして、空気を読んだのかロードが遅かったのか今更のように通知が来た。
________________________
攻略により、セーフティエリア
________________________
詳細
セーフティエリアにはモンスターが出現しなくなり、モンスターの出入りも不可となります。
セーフティエリアは解放したパーティーメンバーのみ入場可能です。ほかのメンバーは許可があったとしても入場不可となります。
セーフティエリアに出現するワープポータルは外にも出現し、出入りが楽になります。また、攻略済の証としても機能します。
________________________
そう書いてあった。
あと、レベルも1つ上がっていた。
そして先程、
さらに、部屋の端にはワープポータルの様なものも出現している。
「みんな!!この場所が安全地帯になったみたいだよ!!敵が一切入って来れないんだって!!」
「あと、そのワープポータルは外と繋がってて出入りが楽になるみたい!」
「ほぅ、異邦人とは不思議なものだ。こんな事も出来てしまうのか。」
「ちがーう!?私たちじゃなくて!ここの運営がやったの!!」
「なるほど、創造神様が行ったのか。それなら納得だ。」
どうやら運営という言葉は住人には創造神様と置き換えられているらしい。
「それなら納得ね。折角だから活用させてもらいましょう。」
「あぁ、そうだな。」
「ガハハハハハ!」
ジークは復活して笑っているがランスロットはまだ倒れていた・・・
トウカはとりあえずみんなを置いといて宝箱を開けてみる。中に入っていたのは
パーティーメンバーの人数分入っているみたいだ。
「ねぇ!みんな見て!」
「おっ?どうした!なんかいいもん入ってたか?」
「あら、きれいね。これは何かしら?」
「ふむ。名前は碧玉のオーブと…。なんだこれは。」
「あのね、これは私達のイベントアイテムなの!これを集めるとイベントが終わった後に色々なものと交換できるらしいんだ!」
「そうか。それではこれはトウカ様がお持ちください。」
「そうね。私達には価値は無さそうだし。」
「ガハハハハハ!食いもんじゃないなら俺も要らん!」
どうやらみんなくれるみたいだ。ランスロットは・・・興味無いだろうしいいかな。
「みんなありがとう!」
____________________
碧玉のオーブ 現在5個
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます