第17話 仲間の紹介
「うわぁ、ちょっとやり過ぎたかな?」
「いや!ジーク達はかなり強いんだし!これでも足りないぐらいなはず!!」
「でも今日はもう疲れたし、明日はイベント!!疲れを残さないようにしっかりと休まないとね!」
トウカは意味もなく頬っぺたを両手で挟むように叩き気合を入れる。
その後、システム画面からログアウトを選択する。
いつも通り光に包まれて気がついたら現実世界の自分の部屋にいる。
「ふぅ…。お風呂入ろ・・・」
風呂に入ってからご飯等その他諸々の事を終わらせた頃には時刻は午後9時を回っていた。
「もう9時かぁ…。明日は確か…11時半に集合だったっけ?」
「早いけど、明日は頑張らなきゃいけないから、疲れを残さないために早く寝よう。」
そのままベッドに潜り込んで就寝する。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリ
目覚まし時計が鳴っている。止めるために手をわちゃわちゃしていたら今日も落ちてきて、おでこに直撃する。
「うっうぅ…最悪…。」
涙目になりながらも次からはちゃんと止めようと心に誓う冬華である。
約束の時間までまだあるため、のんびりと過ごす。ご飯もゲーム中にお腹が空かないように11時前ぐらいに食べる。そして、11時20分頃にログインする。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ログインしてすぐに、ジーク達と合流するため、城塞都市ツヴァイの噴水広場へと向かう。
マップを見ながら進み、5分ほどで辿り着いてジーク達を探すために辺りを見回す。
目に映ったのは一際目立つ集団で、周りの人達もその人達を見てヒソヒソ話している感じがする。
トウカもなんだろうと思ってよく見ると、筋肉ムキムキの右頬に切り傷のある、2m越えのスキンヘッドの大男を中心とした4人グループがいた。
「あれ、見た事あるけど…ジーク達だよね?めっちゃ近寄り難いんだけど…!」
そう、トウカの初めてのフレンドであるジークとその仲間達だ。
(近づいた方がいいよね?でもめっちゃ見られてるし、近づきづらいなぁ・・・)
そんな風に考えていると、近づいてくる人影に気づかなかった。
「おう!トウカ!!久しぶりだな!お前もこっち来いよ!俺の仲間を紹介してやる!ガハハハハ。」
「ひぃっ!?」
突然、大声で話しかけられてビックリして変な声を出してしまった。
「何びっくりしてんだ?ガハハハハ。」
そう、いつも通りの豪快な笑い声を上げているのはジークである。
「コラ!!ジーク!!!!なんで子供を虐めてるの!!!!!」
「おん?虐めてないぞ!こいつがトウカだからな!ガハハハハハ。」
「おっ、君がトウカちゃんかぁ、可愛いねぇ。今度食事でも行かない?」
「だから!!小さい子を虐めないの!?」
「こら君たち。場所を考えなさい。公衆の面前ですよ?」
なかなかに濃いメンツである。そして、トウカは次から次へと現れる濃い人達に目を回してしまい、久しぶりにフリーズしてしまっている。
ガヤガヤ・・・ガヤガヤ・・・
結局、トウカを含めるこの5人組が落ち着くのに数分の時を要してしまった。
「ごめんなさいね、君がトウカさんね。私は名前はジャンヌと言うわ。気軽にジャンヌのと呼んでちょうだい。敬語も要らないわ。戦闘について、私は基本的に後衛で魔法専門よ。回復、支援、攻撃全ての魔法を使えるわ。それと、私もこいつ…ジークみたいにトウカと呼んでもいいかしら?それとも御使い様みつかいさまの方が?・・・ぼそっ、危ない危ない、清楚清楚…。」
「はい!トウカで大丈夫だよ!宜しくね!!ジャンヌ!」
そう言ったジャンヌは聖職者のようで、シスターの様な格好をしている。とても美人であり、性格も優しそうに見えるが先程こいつと言いかけた気がするが気の所為だと思う。こんな綺麗な人がそんな腹黒い人な訳が無い…はず…。
「それじゃあ次はぼk「ガハハハハハ!トウカ!こいつはな、こんな見た目してるが実はおばあ…グハッ」」
ジークが1人の自己紹介を邪魔した挙句、ジャンヌの秘密をベラベラ話そうとした事により、ジャンヌに思いっきり殴られていた。
「トウカ?今のは気にしないでいいからね?」
ジャンヌはそう笑顔で言っていたが、目が笑っていない。そして何よりあのジークが一撃で気絶してしまっている。
それを見てトウカはひっそりと、この人だけは怒らせないようにしようと心に誓ったのだ。
「はっ、はい!わかりました!!」
その後すぐに先程自己紹介をしようとした人が話し始める。
「まったくぅ、師匠ジークに邪魔されちゃったけど、改めて、僕の名前はランスロットだよぉ。ジャンヌ同様敬語や敬称は要らないからねぇ〜。まぁよくチャラ男みたいって言われるけど、かなり真面目だからねぇ。よろしくぅ。」
「ガハハハハハ!よく言うぜ!さっきもナンパして振られてたじゃねーか!ガハハハハハ!!」
いつの間にか復活していたジークが再び茶々を入れている。凄い元気だ…。
そして、そう言ったジークをランスロットはギロりと睨みつけていた。一瞬の事だった為、トウカは気づかなかった。
「うっ、うん…。」
「君たち。周りの目があるのですよ。もう少し大人しくしなさい。」
先程から茶々を入れてるジークを除く2人の紹介が終わり、残りの1人、丁寧な口調で3人を諌めている人物が紹介を始める。
「初めまして。トウカ様…御使い様みつかいさま私はアーサーと申します。貴方様の事はサストレ卿から伺っております。私の事もアーサーと気軽にお呼びください。」
先程から色々と過激な行動や、見た目により注目を浴びていたが、一番注目されていたのはこの男である。
まずは服装が凄い。全身を白金に輝く、神殿の聖騎士よりも煌びやかで輝いている全身鎧を着ており、見た目は金髪蒼眼で身長も高く、王子様の様にカッコイイ。
それだけでなく、持っている剣もとても煌びやかであり、儀式様に見えてとても実践で使える様には思えない剣を装備している。
そのいかにも王子様と言った風貌の男がトウカの目の前に跪き、頭を垂れているのだ。
そのせいでトウカもかなりの注目を浴びている。
「なにあれ、このイベントの前イベントかなんか?」
「そうじゃない?いろいろ凝ってるしあると思うよ。」
「いいなぁ。カッコイイ!!」
「なんなのあの娘!あんなカッコイイ人とパーティーなの!?」
そんな感じで羨む様な視線や嫉妬の視線等、色々な目で見られている。
「ちょっ、ちょっと!止めてよ!立って!!」
トウカはその視線に耐えきれず、アーサーを無理やり立たせる。
「アーサー?どうしたんですの?貴方らしく無いわよ。」
「おいおい!どうしたんだよアーサー。らしくないな!」
「ふふふふ…。」
仲間たちから、普段見られない行動のせいか、とても心配されている。あの大胆不敵なジークでさえアーサーの行動を心配している。
そしてランスロットは何故か笑っている。
「あぁ、すまない。確かに慣れない事だったから上手く出来なかったのだろう。」
アーサーは心配されているのでなく、上手く出来ていなくて止められたと勘違いしているみたいだ。
「あっ、あの…。アーサー?アーサーもジークや皆と同じように接してくれたら嬉しいな。名前もトウカって呼んで欲しいな。」
トウカはこれは堪らないと思い、アーサーにも他の人と同じように接して欲しいとお願いする。
首をこてんと傾げて自分の中で思い描く精一杯可愛く見せるための仕草でのお願いだ。
「ぶふぉ!ガハハハハハ!!」
ジークが吹き出して笑っているが無視だ無視だ。あとなんかランスロットからの視線も感じるけど気にしない!!
「わかりました。しかし、貴方様の方が立場が上。トウカ様と呼ばせて頂きます。そして今回、パーティーのリーダーもトウカ様にお願いします。」
「ガハハハハハ!あ?立場が上ってどういう事だ?アーサーお前、一応王様だろ?」
「一応とはなんですか。」
「一応は一応だ!ガハハハハハ!」
なんか今不穏な会話が聞こえたと思うけど気の所為だと思いたい。
「ジーク?まさかとは思うけど、あなたトウカの立場知らないの?」
「トウカは俺のだちだ!そうだろ。ガハハハハハ!」
ジャンヌは頭を抱えている。
「はぁ、トウカは神の使い、御使い様ですよ。本当は私達とは比較にならないぐらい偉いのよ。」
「今はもう神殿もトウカの物になってるし、アーサーも認めているから事実上、この国はトウカの物なの。まぁ王であるアーサーがこんなだから説得力無いかもしれないけど…。」
「おう!そうか!ガハハハハハ!」
「ジーク!!ほんとにわかってる!?」
「おう!わかってるぞ!ガハハハハハ!!」
(なんか、私が関わらない間に話が進んでる?どうしよ…。てかアーサーが王様?へ?・・・)
現在トウカはフリーズ中である。
____________________
今話、人物紹介
アーサー 聖剣使い
全国王のただ1人の息子として愛されて過ごしてきた。生まれながらにして固有スキル【聖剣】を持っており、過保護に育てられる。そして愛されているが故に厳しい教育を受ける。
その結果、今では完璧な人物として世間に知られている。が実は幼少の頃からイタズラ好きであり、よく城を抜け出して遊んでいた。その頃のイタズラ好きが現在では腹黒に変わっており、一部の人はアーサーに振り回されている。
英才教育に加え、勝手に遊び回ったり冒険者になったりしており、現在は彼を超える剣技を扱う者はこの国に存在しない。武闘派の少しやんちゃな王である。
冒険者ランクはSである。
ジーク 大剣使い
右頬に傷のあるスキンヘッドの大男である。
とても大雑把な性格であり、何事にも動じない人物である。
こんな見た目でこんな性格だが、家は貴族で公爵家である。王家の血を引いており、一応王位継承権を持っている。
幼い頃からアーサーの悪友として遊び回っており、勝手にダンジョンに潜ったらと好き放題していた。
今では家を飛び出して自立しており、王位継承権もあって無いようなものである。
ドラゴンの単独討伐もした事があり、冒険者ランクはSである。
ジャンヌ 魔法使い
現在、神聖魔法を使えるただ1人の聖女として神殿に仕えている。
使える魔法は神聖魔法の他、バフデバフに加え攻撃魔法等基本的に全ての魔法を網羅している。
種族はエルフであり、魔法に対しての素質も高く、幼少の頃から精霊にも愛されていた。
エルフであり、寿命も長く、若く見えるが実は…
(# ゜皿 ゜⊂彡))Д´)・∵. グハッ!!
立場に相応しい清楚な振る舞いを目指しているが、元々農民出身だったため、その頃の名残として言葉遣いが雑になってしまうことが多々ある。
冒険者ランクはSである。
ランスロット チャラ男タンク
ランスロット。本名マイケルである。ランスロットはカッコイイだろ!?これならモテるよな!?って感じで自称で名乗っているだけである。本名を知っている者は両親以外は存在しないが、両親は既に他界しているため本名を知っている者は本人以外は存在しない。
行動も全て自らがカッコイイと思って行っている事である。
幼い頃にジークに拾われて鍛えられてきた。ステータスも攻撃的なジークを守る為、師匠ジークとは対象に防御寄りである。
ジークを師匠と慕っているが内心、単細胞めとバカにしている事もたまにある。
冒険者ランクはAである。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます