第11話 神殿
視界が光に包まれる。
次の瞬間には2人は始まりの街「アインス」の最初の広場にいた。
トウカは昨日に続いて2回目のため何とも思わなかったが、レアは初めての事のため驚いている。
「え、何が起きたの?なんで私たちここに居るの?」
「あれ、レアはこの魔法知らないの?時空魔法のリターンベースって魔法なんだけど。昨日ジークに教えてもらったら増えたんだよ!」
「時空魔法?でもあれって覚えるのに必要なポイント多かった割にレベル上げても速度に関する魔法しか使えなかったし、その魔法も大した効果が無いから誰も使ってない魔法だよ?」
「そうなの?でも便利な魔法だから住人の中で強くてお金もってる人は大体が覚えてる魔法らしいよ!私はそう聞いた!」
「えっ・・・それじゃあもしかして、魔法の中には住人から教わらないと使えない魔法があるって事なのかな。」
「ベータテスターで魔法を極めるつもりのうちを上回る情報を持ってるとはトウカもやるね。」
「ふふーん!そうでしょ〜」
トウカは知らなかったが、レアはベータテスターの中でも1.2位を争うほどの実力を持ち、それに見合った知識や称号等の秘匿している情報量も他の人よりも圧倒的に多いのである。
そういった事があり、ボスも圧倒的な火力で倒せたのである。
他の人はまだレベルも足りず、戦闘しても一瞬で倒されたりしている。
ちなみに、トウカとレアがフィールドボス、ホブゴブリンと取り巻きを倒した5分後ぐらいにたどり着いたパーティーがボスを倒している。
そのため、もう少し遅ければトウカは初回討伐にはならなかったのである。
「じゃあ攻略を進めるのは自分が強くなるだけじゃなく、住人と仲良くなって情報を得る事も必要なのか。」
「そうだねー!情報か〜、どっか教えて貰えそうなところとかってある?」
「んー、うちはギルドからしか教えてもらったことないし、図書館とかも見つかっていないらしいから、トウカがやった様に強い住人と仲良くなる必要があるかな?」
「そうなんだ、本読むの好きだったから図書館も楽しみだったんだけどなぁ・・・」
そう言ってトウカは落ち込んでしまう。
「見つかっていないだけで、あるかもしれない。だからそんなに落ち込まないで。」
「そうだよね!私も探してみるよ!」
トウカはとても扱いやすく、すぐに元気になった。
さすが幼馴染である。
そして、トウカとレアはそれぞれの目的のために再び別行動を始める。
レアはレベル上げ兼ボス討伐へ向かい、トウカはジークと出会った屋台の方へと向かっていく。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
そうして屋台のあった場所へたどり着いたが、そこにジークはいなかった。
「あれ?今日はいないのかな?」
「うーん、早速予定が狂っちゃったけど、どうしよ。」
行ったことないところはまだまだ大量に有るし、またこの街の散策でもしようかな。
そう考えつつ歩き回る。
視界の少し先の方におばあちゃんが歩いていて、そこにプレイヤーがぶつかる。
その衝撃でおばあちゃんは転んでしまった。
しかしプレイヤーは手助けする所か謝る事もせず
「ちっ、そんな所でウロウロしてるんじゃねーよ!ばばあ!」
そう言って立ち去ってしまう。
私は空かさずおばあちゃんに駆け寄る。
「大丈夫ですか!?」
「立てますか?」
「痛たたた・・・。うっ。」
どうやら先程ぶつかった衝撃で足を痛めてしまったらしく、立ち上がろうとしても立ち上がれないようだ。
私はさっきのプレイヤーに謝罪させようとしてチラリと辺りを見渡すが既に居なくなってしまったらしい。
そして、近くにいた住人のうち何人かが心配そうに近づいてくるが、プレイヤーは誰も近寄ってこない。
「おばあちゃん大丈夫か!?」
「これは酷い・・・あいつらなんてことをするんだ!!」
近づいてきた住人達はおばあちゃんを心配しつつプレイヤー達への批難の言葉を口々に言っている。
トウカはその事なんとも言えない気持ちになるが感情を抑えて言う。
「そんな事を言うよりまずはおばあちゃんが優先でしょ!!」
「どっか治療できる所はないの!?」
中には怒りを抑えきれない人もいたが、住人達はトウカの言葉に落ち着きを取り戻す。
「あぁ、そうだな・・・済まない。」
「君も異邦人か?いや、悪い。君は違うみたいだし責めるつもりは無いんだ。今のは忘れてくれ。」
「とりあえず神殿に連れて行こう!そこの司祭様が回復魔法を使える。そこで治してもらおう。」
「場所はどこ?私の方がレベルも高くて力あるみたいだから連れていくよ。」
そうして神殿の場所を聞き、おばあちゃんを連れていく。
マップを見つつ神殿へたどり着く。
そこは厳重に守られており、簡単には中に入れなさそうな造りになっている。
しかし何故か入り口が空いており、パッと見て付近には誰もいなさそうな為、中へ入る。
中にはシスターがいて目が合う。
するとシスターは突然、感極まったように涙を流し始める。
「天使様・・・」
そう呟くがトウカには聞こえていなかったらしい。
「すみません、このおばあちゃんが怪我をしてしまったので、ここの司祭が回復魔法を使えると聞いて治療してもらいに来たのですが。」
トウカに声をかけられて落ち着きを取り戻す。
「もっ、申し訳ございません!直ちに案内させて頂きます!」
そうシスターは焦って答える。
そして1人のシスターがおばあちゃんを案内する。
そしてもう1人のシスターに着いてくるように何故か必死にお願いされた為、着いて行く。
途中、色々な人にすれ違うがその度に何故かみんな一様に涙を流し、何かを呟いている。
そのうち1人にシスターが何かを話しかけると急いで走っていく。
そして再び長い道をグルグルと歩いて行くと、一際大きく煌びやかのな扉の前に来た。
そこには左右に輝く鎧を纏う騎士が待機している。
「こちらへお入りください。」
なんだここ、ほんとに司祭が居るの?
そう考えていると左右の騎士が扉を開ける。
中を見るとイメージにあるお城の謁見の間みたいな場所であった。
扉から奥に赤いカーペットが続いており、階段の上には大きく煌びやかな椅子がある。
そして、先程扉の左右に居た騎士と同じ格好をした騎士達が何十人とおり、カーペットの方に向かって跪いている。
一番奥には一際輝く法衣を身にまとっているお爺さんが階段の下に跪いている。
えっ?何これ?
おばあちゃんを治療してもらいに来ただけだよね?
何が起きてんの?
1番奥の人とか絶対に偉い人だよね?
・・・・・・え?
トウカは困惑しつつも前へ進む。
すると1番奥の人が話し始める。
「ようこそ、いらっしゃいました。御使いみつかい様。」
「私は五大神教教皇のミゲル・フォン・サストレと申し上げます。どうかミゲルとお呼びください。」
「この度は御使い様がご降臨されたことに一同、感謝の意を表明致します。」
「また、ご降臨されたことに気付くこと無く御身の御手を煩わせてしまい、誠に申し訳ございません。」
「あっ、いえ、大丈夫です。」
どうしてこうなったのか。
それは、トウカは覚えていないが、今回の事は種族に原因がある。種族を選んだ時の説明にこうあった。
天翼族
天翼族または天使とも呼ばれている。地上では神・の・使・い・として崇められる事が多い。ここ数百年、地上に降りる事は無かったが、現存する天翼族は10人に満たない。しかし、無限に等しい寿命を持っている為滅びることは無い。
そう、ここは神殿であり、神を崇めている。
そしてその神・の・使・い・として天翼族も同様に信仰の対象として崇められているため、神殿のトップよりも更に上の地位として扱われる。
「お許し頂き、誠にありがとうございます。」
「差し出がましい事かも知れませんが私め共に敬語等は必要ございません。」
トウカとしては敬語が苦手な為、この申し出は正直有難かった。
その後も教皇はトウカを褒め称え続ける。
トウカもトウカで崇められる事が嫌ではなく、むしろ嬉しい様でニコニコしている。
そして、最後に爆弾が落とされる。
「最後に御使い様にはこの神殿、五大神教のトップとして君臨して頂きます。」
「基本的には御使い様の御手を煩わせ無いように雑務や仕事等の事は全て私以下の者で行います。その点に関して何か問題が有る場合はご命令下さい。」
「今後はこちら五大神教神殿本部をマイホームとしてお使い下さい。部屋に関してもこちらの方で準備させて頂きます。」
「こちらにはワープポイントもございますので、外との行き来は楽に出来ると思います。」
ピロンっ
五大神教神殿本部マイホームの所有権を手に入れました。
以後、五大神教神殿本部マイホームでリスポーン、ログイン、ログアウトが可能になります。
称号『五大神教トップ』を取得しました。
五大神教のトップになった者に贈られるユニーク称号。
『五大神教トップ』
五大神教信者の好感度が最大値になる。
またまた凄いことになってしまった。
トウカはどうやら驚く事に慣れてしまい、特に反応する事もなく、教皇にされるがままになっている。
それがどうやら威厳があるように思われたらしく、周りの者全てが歓喜に震えている。
「御使い様、これから御使い様のお部屋にご案内致します。御足労頂いてもよろしいでしょうか?」
「はい・・・。」
そうしてトウカは教皇に着いて行く。
グルグルと進む事5分ほど・・・
どうやらこの神殿はとても大きいらしく、部屋の移動にも時間がかかってしまう。
そして部屋に着く。
中に入ると・・・
そこはまるでお城の一室の様で床は赤いカーペットが敷き詰められ、壁は白く、所々金の模様が入ってロイヤルな感じがする。
部屋のサイズは小さめな日本家屋1軒がまるまる入ってしまいそうなぐらい大きい。
天井からはシャンデリアがいくつか垂れ下がっており、壁のガラスは地面から天井に届きそうなぐらい大きく、赤いカーテンも付いている。
ベッドはキングサイズの天蓋付きベッドであり、とても高級そうなテーブル、イス、クローゼットもある。
そして部屋の隅にはワープポイントもある。
他にもいろいろあるが、凄すぎて言い表せない。
「わぁ」
トウカは衝撃のあまり言葉が出ないようだ。
「お気に召した様で良かったです。」
「それでは私はこの辺で失礼致します。御用が有りました、その辺の誰かに申し付け下さい。」
「ごゆっくりどうぞ。」
そして教皇はどこかに行ってしまう。
とりあえず落ち着いたけどこれ、どうしよう?
____________________
名前 トウカ
種族 天翼族☆1
Lv 13
HP 1460/1460 MP850/850
STR 5 VIT 0 ATK 722
INT 0 RES 0 MATK 520
DEX 0 AGI 10 DEF 820
LUC 290 MDEF 520
残りSP15
加護
女神フォルトゥーナの加護
LUCの数値を2倍にする
スキル
固有スキル
【飛行Lv2】
【天撃Lv1】
【神聖魔法Lv1】
パッシブスキル
【幸運強化Lv6】
【投擲術Lv5】
【剣術Lv1】
アクティブスキル
【鑑定Lv6】
【召喚術Lv1】
【時空魔法Lv1】
装備
初心者のナイフ☆1 攻撃力+5
ダイアウルフの剣☆2 攻撃力+30 STR+5
ダイアウルフ兜☆2 防御力+10 AGI+2
ダイアウルフ軽鎧☆2 防御力+20 AGI+2
ダイアウルフ篭手☆2 防御力+10 AGI+2
ダイアウルフ腰☆2 防御力+10 AGI+2
ダイアウルフ靴☆2 防御力+10 AGI+2
所持金
32860G
称号
ユニーク
『友愛を築く者』
住人からの好感度が上がりやすくなる。
『五大神教トップ』
五大神教信者の好感度が最大値になる。
通常
『一撃必殺』
最初の一撃のダメージが5倍になる。
『下克上』
格上の敵と戦う時、全ステータスに10%の補正が入る。
『生命の力』
HPが最大の時に与えるダメージ量が10%増加する。
『ジャイアントキリング』
レベル差による威力減衰を受けなくなる。
『致命の一撃』
クリティカルヒット時、相手の防御力を半分無視してダメージを与える。
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