運で世界を統べる!?〜不運な私がゲームの世界で〜

六道奏

第1話 発売日

私の名前は宮永冬華。

どこにでもいる、ちょっと不運な高校1年生だ。


「ワン!ワン!」


道を歩けば犬に吠えられ

びっくりしたと思ったら鳩の糞が頭にかかる。


こんなことは日常茶飯事だ。



私は今日、朝早起きしてGAOがオープンする5時間前から並んでいる。

そんなに早く並んでどうする?と思うだろう。

しかし、それでも遅いぐらいだ。

早い人は何日も前からキャンプでもするんじゃないか

と言うぐらい荷物を持って並んでいる。


実際、私が並び始めた頃には目の前に30人ぐらいは並んでいた。


「ゲーマーと言うのはよくわからないな」


なぜこんなに早くに並ぶのか。

それは今回発売するゲームはVRMMOの常識を覆すと開発初期からPVなどで言われていたからだ。


そして発売数は全世界で1万本のみ。

これからどんどん増えていくだろうが、今はそれだけだ。



「今から販売を開始しまーす!」


その言葉と同時に私より先に並んでいた人達から歓喜の悲鳴が上がった。

私も心が高鳴り、ドキドキとワクワクで心臓がはち切れそうだった。



「やったーー!!!」


急にどうした?と思うだろう。

しかしこれが叫ばずにはいられない。


なんと私が購入した時には残り3本となっていたからだ。

もし並ぶのがあと数分遅ければ購入出来なかっただろう。


「今日はついているよ!」


しかし、やはりと言うべきだろうか。

良いことだけでは終わらない。


雨が降っていたのだ。


「さっきまで晴れてたじゃん、急すぎでしょ…。」


私は事前に天気予報も調べていた。

その時は今日1日晴れとなっていた。


「はぁ、またか…」


「まぁ、こう言う時のために折り畳み傘あるんだけどね」


私は運が良くないためか、こう言うこともよく起こる。

その為、折り畳み傘は常備しているのだ。


傘を差してるから大丈夫だろう。

しかし、私の不運は凄まじい。


歩道の真ん中を歩いてるはずなのに、なぜか隣をトラックが通ると水たまりの水が飛んでくる。



「でも良かった。ゲームにかからなくて。」






そう、今日は皆が待ちに待ったゲーム。

『Seek Freedom』の発売日だ。




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



ドタバタドタバタドタバタ


私は買えたことが嬉しくて急いで家に帰った。

家に着くと直ぐに部屋に向かい、箱を開ける。


と思ったら下から母親の声が聞こえてきた。

「こら!冬華ー!家に帰ったら手洗いうがいしなさいよ!」


「はーい!わかってるー」


と言ったが実は興奮しすぎて忘れていた。


手洗いうがいして部屋に戻るとすぐに箱を開ける。


「こういうのって丁寧に開けたくなるんだよなあ」


べりっ!


「あっ…」


よくある事だが上手く開けられずに中途半端に開いてしまい、開けづらい状態になってしまった。


「まぁ、よくある事だね」


開けようとすること1分ほど


「よし!開いた!早速やろ〜っと」


説明書を取り出し、それを読んでから、ヘッドギアを被ろうとすると、中からまた説明書のようなものが落ちてきた。


「いたっ」

別に痛くないんだけど、こういうのって何か声が出ちゃうよね…。


 「なんだろこれ…」


見てみるとそこには


『説明書』

「プレイする方へ。

『Seek Freedom』をプレイするに当たっての注意事項。


1つ、これから『Seek Freedom』の世界で何が起き何をしようと起こることは全て自身の責任で有り、当社は関与致しません。


2つ、『Seek Freedom』の世界の住人は、NPCではなくれっきとした自我を持ったAi、住人である。

彼ら彼女らは既に我々運営の手を離れて、独自の人格を有しています。それは1つの命を有していると同じ事です。一部の住人を除き、住人は1度命を失うと元に戻りません。

それをお忘れなきように。


3つ、購入頂き感謝致します。貴方に最大の敬意を。」


 おー!

 これって、住人は人間と変わらないってことか!

それと…自身の責任ってちょっと怖いことあるのかな?

 まぁなんとかなるっしょ!


「じゃあ、早速始めよー!」

「と思ったけど、お腹すいたし、少しだけ食べてからにしようかな。」


そうして台所に行き、昨日の残りの味噌汁を温めてご飯と一緒に食べる。


早くゲームやりたいし

ちょっと行儀悪いけど、いいよね?

そうして味噌汁がけご飯にして食べる。


がーっと流し込むようにして食べ終わり、食器をシンクに入れて、ちゃっと洗って部屋に戻る。


そのままベッドに寝転がって、ゲームを始めるために必要なヘッドギアを被り、リラックスして目を閉じて…


よし!やっと始められるね!


さぁ、果て無き世界よ色々楽しませてくれよ。



  『Dive In』

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