覚醒と心配
ライフルを置いてあったところに戻り落ちてるライフルを拾って、スコープを覗くと視界一杯に葉っぱが見えます。イサナさんが能力で生やしている植物ですね。それ気が付いた次の瞬間には葉っぱが動いて下の方に消えていきます。
え?一体何が?スコープを下げてみると隊長がイサナさんの生やした木を刀で残らず薙ぎ払っています。
イサナさんも次々と種を撒いていますが全て隊長に届く前に刈り取られています。あ、今顔面にパンチが入りました。とりあえず援護をしようと思いはしますが隊長とイサナさんの距離が近づきすぎて誤射しそうです。
まずは撃てるような距離に近づくことにしましょう。持っているWA2000を背負って代わりにXM8を持って河川敷を走って行こうとしました。
一歩目で盛大にこけました
「グエ?!…いったぁ」
血は出ていないながらも河川敷の石にぶつけて膝を抱えながら一体何がと思い足元を見ると私の足首にツタが絡まっています。…ああそういえばイサナさんがこの辺りに種を撒いていましたね。その内の一つが足に絡まったんですね。私は絡まっているツタをちぎって再び立ち上がります。そして足に再び別のツタが絡まります。
…これは…面倒くさいです。そしてこんなことに構っている暇はありません。再び絡まったツタを引きちぎると次のツタが絡まる前に同時に全力で走って隊長の所に行きます。道中チラッと後ろを見ると先ほどよりも明らかに意思を持って私に向かって伸びてくる沢山のツタが見えます。あれってイサナさんの指示が無くても伸びるのでしょうか
とりあえずこれはイサナさんのせいなのでイサナさんを攻撃すれば止まると予想して、隊長とイサナさんが距離を置いたタイミングでイサナさん目掛けて銃を乱射します。
隊長との勝負に集中していたようで最初の数発はイサナさんの太ももと横っ腹に直撃しました。でも流石に走りながら射撃ではそれ以上当たらずにイサナさんの前後を弾が飛んでいきます。イサナさんも私に気が付いて明らかに動揺しています。
「たいちょ!」
何とか走って隊長の下にたどりつきます。
「え?アイビー、何でそんな全力疾走で合流してきたんだ!」
「だってツタが襲ってきたんですよ。こう、グワーって一杯襲ってきたんですよ」
そう言いながら振り返って銃を構えますが、私を追いかけてきていたツタの動きが止まっています。イサナさんが原因とは予想できますが、どういう理由で動かなくなるのかは分かりません。でも、動かないのなら好都合です。ツタに向けていた銃口をイサナさんに向けます。
「また会いましたね、イサナさん」
「…フレアはどうしました?」
「フレアさんは無事ですよ。少しスタンガンで意識を奪わせてもらいました。あなたを殺す時に庇って撃ってしまうといけないので」
「…そう、無事だよね?」
「ええ、まぁ、はい首筋にスタンガン当てたので少し火傷跡があるかもしれませんが他に傷は一つもありません」
「それなら良かった。で、アイビーさんは敵ってことなの?」
「ええ、先ほど攻撃しましたので敵です。私は全力で殺すので全力で抵抗して殺されてください。隊長、いいですか?」
私は振り返って隊長に確認をします。
「え、あ、うん大丈夫だがアイビーはいいのか?知り合いなんだろ?」
「ええ大丈夫です。本当に大丈夫です。覚悟完了です!」
「そうか…そっか……わかった、信じよう」
少しウーンと悩んだ後に頷いて刀を構えました。
「話は終わりました?終わったなら始めましょうか!」
地面にあらかじめ撒いていた種から植物を地面から生やしながらそう聞いてきました。
「はい!しっかりと殺してあげます!」
そう言って地面を蹴ってイサナさんに接近します。次に片膝を立ててXM8をぶっ放します。イサナさんは地面から木を生やして盾にしました。でもこういうのって木の端から撃っていけば何とかなるってユッカさんに教えてもらった本に書いてありました。
やってみると案外時間がかかりますがいける物ですね。しかも半分までいけば自重がバランスが崩れて倒れました。
ここまで盾が無くなれば撃ち放題ですね。イサナさんもビックリして動きが止まっています。狙うならここですね。
そう思って引き金を再び引きましたが、引き金を引く音だけして弾が出ません。弾切れですねリロードしないとこのマガジンは自重で落下するので便利ですね。
マガジンを下に落として次のマガジンを取り出そうとゴソゴソしていると隊長が近づいてきました。
「…え、あ、アイビー前に出るのか?」
「あ、はい。今回は私が頑張ろうかと思いまして!」
「そ、そうか、…うん、そうか、殺る気があるのはわかった。私も一緒に前に出たいところだが今回はサポートに回ろう、アイビー思いっきり頑張れよ」
「はい!全力でいきます」
試したいこともあるのでXM8とグロック18cをそれぞれ手に持って突撃しています。
あの少しの間に何があったのか、アイビーが目をキラキラさせながら転移者に向かって突撃している。
私、どこかで教育を間違えたのだろうか…ちょっとはっちゃけすぎではないだろうか?
今回はアイビーの知り合いと言うことで私なりに配慮をしたつもりだ。本人が行けると言っても我ながら厳しい心でアイビーを攻めに入れず、もしあったとしても私が悪役を演じてアイビーが無理やり従っている風な感じにしてアイビーの負担を軽減しようとか考えていたのに、それを見事に全力でぶち壊してくれた。
私としては仕事に一生懸命に取り組んでいる姿にある種の感動?のような物を感じるが、一方で少し私が見ていない間に何があったんだと思う気持ちもある。実際先ほどアイビーが突撃をした時には予想外過ぎる出来事だったから少しビックリしてしまった。あれは空元気の類なのかそれとも本人が真剣に取り組んでいるからなのか本人の様子は後者のような感じだったな。まぁ本人がヤル気になったなら、これ以上私が止める理由もないし好きにさせた方がアイビーのためにもなるだろう。
ピンチになったら私が割って入ればいいし、とりあえずはアイビーに任せてみることにしよう。
私は刀から銃に持ち替えてアイビーと転移者の側面に回り込んで邪魔にならない程度に様子を見る。本当は私も前に出たいが二人が前に出たらぶつかったり邪魔になる可能性が高い。それにアイビーのあの様子からしてグイグイと前に出るからかえって邪魔になるから余計な横槍を入れるよりはアイビーが本当にピンチにならない限り手出しをしない様にしよう。
それならと私は援護に回ったが、今後もアイビーがあのような戦い方を望むならもう少し近接戦闘に力を入れることにしよう。終わったら本人に聞いて見ることにしよう。
そう考えながら援護していると二人はもつれあうように川の中に突っ込んでいった。
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