ナギ&セラ 強行突破
さて隊長やバロックさん達とは別の場所に転移した私とセラさんの前には、弓兵や魔法使いが沢山見えます。
転移する場所は間違ってないので、あの密集陣形で固まっている騎士団の奥に私達の目標の転移者の一人がいると思われるがどう行こうか。
幸いに私達と騎士団の距離は開いており、弓や魔法の有効射程から離れているので弓で撃たれることも魔法が飛んでくることもなく、こうしてセラさんから借りたスコープを使って観察できます。
しかし少し奇妙ですね。
別に距離の遠い相手に遠距離武器を使うのはおかしくありません、近くなったら近接武器に切り替えればいいですしね。
おかしいのはスコープで見える範囲の騎士が弓か魔法を撃つための杖しか持っておらず、誰も近接装備を持っていないことです。
普通剣や槍を持っていてもおかしくは無いのですが、持っていません
また向こうの騎士がこちらに接近してこないのもおかしいですね
こちらに来る騎士とかいてもいいと思うのですけど一向に攻めてきません
「・・・セラさんどう思います?」
向こうからは攻めてこないようなので怪しいですが、とりあえず他の人の意見を聞きます
「完全にこちらが攻めてくるのを待っているわね~」
「ですね」
「それに~明らかに近接で戦闘する気のない武装、多分あっちに行くまでに何かしらの罠があるわね~誘い受けね~」
「そう・・ですよね」
ツッコミはしませんよ、セラさん
ここから向こうまで柵や壁のような物が見当たらないので、罠は隠されているか落とし穴とかのここからでは見えないものがあるか
多分落とし穴の可能性は低いですね。
穴に落ちた人を相手に弓矢を下に撃つのって結構大変ですし、魔法で撃つなら槍で刺した方が楽なのですが、向こうに槍持ちは見当たりません。
あと考えられるのは魔法とかで隠しているのでしょうか?
地雷などはなさそうですね。
地雷があるなら銃火器があってもおかしくないですが、見える限りでは見当たりません
隠している場合も考えられますが、その場合なら問題ない。
あんなに密集していたのなら少し左右に移動すれば銃口がぶつかりあってまともに照準が定まらなくなります。
ならば問題は魔法ですね。
設置型とか発動型とか問題はありますが発動型なら術者は詠唱が必要なはずです。
まぁ転移者には詠唱しなくても魔法を使ってくる人はいるけど、全員転移者ではないだろうし
詠唱を開始してからの対処方法は隊長に嫌と言うほど教え込まれましたから問題ないですね。
ならば設置型が問題ですね。
設置型を置く場合は地雷のように地面から爆発するのではなく、設置した空間が爆発するタイプが多く、地雷よりも反応する範囲は大きくその空間を通る無機物有機物に関係なく発動するので対処はできます。
多分大丈夫でしょう。
とりあえず確認のために何かいくつか投げ込んでみることにしよう
私は地面に落ちている石をいくつか拾って投げ込んでみました。
1個目2個目は地面に落ちましたが3つ目の石は地面に当たる前に爆発して粉々になりました。
規則性があるなら設置位置が予想できると思ったので、その前後を目掛けていくつか投げ込みましたが反応したりしなかったりしたので、どうやら規則性に沿って設置しているわけではなく、完全にランダムなようです。
まぁもし規則的に設置したらそこを踏まないように行動することが一応可能なので、あそこで待つことはしないと思いますが
しかし面倒ですね。
ランダムに設置したものを戦いが終わった後に完全に除去するのがどれだけ難しいことなのか転移者は知っているのでしょうか?
どの世界も技術が進むと戦争で爆発物をランダムに置いたりするのですが、終わった後に地獄を見るのはどこも同じですね。
でも、今そのことを考えても仕方ありません
今はあそこをどう突破するかが重要ですね。
まぁもうあまり考えていても仕方ありません。
こういう作戦を思いつく方の性格は大体ひねくれています。
迂回しようものなら向こうの思い通りでしょう
こういう姑息な手を使う人にいちいち付き合う必要はありません
「セラさん、銃を構えてください。あと催涙ガス手榴弾をください」
「は~い」
少々強引ですが正面からトッパさせてもらいます
・・・・フフフ完璧だ
陣形の奥に椅子に座りながら俺はそう思った。
自分の発案し実行させた作戦の完璧さに笑みがこぼれる。
地雷魔法を密集するようにランダムに設置させたあの地面になら迂闊に攻めてこれまい
この作戦を話した時に第二騎士団の団長たちが反対していたけど実行させた。
もし突撃して爆発に巻き込まれたのなら弓矢と魔法でボコボコにしてやる。
俺は蒼汰よりは強いが慎重派だ。
勝率90%の戦いは100%、いや1000%じゃなければ戦いたくない。
絶対に勝てる状態じゃなければ戦いたくない、一方的に勝たないと気持ち良くない。
だから俺の取った作戦は時間稼ぎだ。
無数に設置した地雷魔法と弓隊と攻撃魔法隊で膠着状態を作り、誠の戦いが終わったらこっちに来てもらい二人で相手して確実に殺す。
蒼汰は放置しておいて・・・まぁ死ぬだろうけど相手を消耗させれば俺たちで十分に殺せる。
完璧だな
そう思って持ってきた飲み物を飲んでいると、騎士団の前の方が爆発した。
騎士団のメンツが引っ掛かるほどアホじゃないはずだろうから敵が引っ掛かったのだろうな
馬鹿な奴らだ。
俺は爆発し続けている光景を眺めながら俺はほくそ笑んだ。
・・・爆発しすぎじゃね?
セラさんに連射をして、前方の地雷魔法を残らず処理してもらいながら私はガスマスクを装着しました。
地雷魔法はある程度小さい物、石ころに反応していたので銃弾でも反応すると思ったのですが反応してくれてよかったです。
別に全ての地雷魔法を処理する必要はありません。
私達は二人、二人が真っ直ぐ進む範囲だけを処理出来ればいい
つまりセラさんの二丁持ちで前方の地雷魔法だけを爆発させれば、少なくとも私達が行く道は安全だ。
そして爆発しなくなったときに突撃していけば大丈夫だと思う
爆発によってできた煙で騎士団からも私の姿は見えないし、発砲音も爆発によってかき消されて向こうからは何故か爆発しているようにしか見えない。
そうこうしている内に爆発する音が少なくなってきた。
「ナギさんそろそろ突撃しても大丈夫だと思うわ~」
マガジンを交換しながらセラさんが言った。
「わかりました。セラさんは私が突撃したら、私に弾を当てないように左右に弾幕を張って他の地雷を爆発させて注意をそらしてください」
手榴弾のピンを抜いて姿勢を低くしました。
もしかしたら高いところにも設置されている可能性もあるのでなるべくセラさんの撃った銃の高さ以上には顔を上げないようにしないと
「了解~」
「では・・・行きます!!」
私が走り出したと同時にセラさんは左右に撃ち始めました。
土煙によって向こう側は見えないですが、それは向こうにとっても同じことです。
そう思っていると向こうから魔法の詠唱が聞こえてきました、。
単語に爆発とか爆炎とか聞こえるので爆発する系の魔法ですね?
さらに詠唱が進むと、煙の向こうに赤い光が見えるので炎が爆発するタイプだと予想します。
多分爆風で煙を晴らしつつ牽制が目的ですかね。
向こうも少し賢いようですが遅いです。
炎の光のおかげで、私と相手との距離が分かりました。
本当なら敵が見え始めてから投げようと思っていたのですが、光が目印になったので問題ないですね。
ピンを抜いていた催涙ガス手榴弾を敵陣の少し奥目掛けて投げ込んで走り続けます。
少ししたのちに向こうから悲鳴や叫び声が聞こえてきたのでうまくいったようです。
私は走る速度を上げて先頭にいた騎士団員の頭を踏んで奥に向かって飛びました。
何人かがが慌ててこちらに狙いを定めようとしますが、どれも遠距離攻撃なので、味方に当たる可能性があり撃てていません
それに催涙ガスで目や皮膚がかゆくて、それどころじゃないようです
風魔法で煙を飛ばそうにもくしゃみで詠唱が出来ないでいます
とりあえず追加しとこうと、少し奥にもう一個投げて進みました。
しばらく奥に進むと
急に煙が晴れて奥に鎧を着ていない青年が椅子に座っていました。
多分転移者ですね。
「はぁ!?何突破されてんの?あぁ使えないなぁ」
そういってぶつくさ言って立ち上がりました。
「何で俺に気持ちよく勝たせてくれないのかなぁ?空気読んで死んでくれない?」
そう言いながら頭を掻いた彼に私はイラッとしました
「・・・戦いに気持ちよさを求めてんじゃないわよ」
戦いなんて娯楽以外はつまんなくて胸糞悪いものばっかりなのよ
相手の裏をかきあうのが戦争であって、気持ちのいい戦いがしたいのならスポーツかゲームでもしてればいい
本当の戦いに気持ちよさなんて求めんな
「は?戦いなんて楽しんでなんぼでしょ?魔法を撃って相手を倒したときとか、俺の策に相手がハマったときなんてすごい気持ちいいじゃん」
「・・・そうですか」
完全な理解は無理ですね。理解してもらう必要もない
それよりも仕事をしましょう
少し感情的に動いてしまいました
「あ、戦うの?俺強いよ」
「関係ないです」
「ふー怖い怖い」
腕を掴んでわざとらしく言う彼は無視して、私は全力で走って剣は抜かずにぶん殴った。
「は?グェ!!」
突然殴ってきたことに対応できずに顔面にパンチを食らって、少し後ろに吹っ飛んでいって地べたに落ちた。。
「ちょ、お前!!」
「おや?開始の合図でも欲しかったのですか?すみません、強いと言っていたので反応するかと思ったのですが、まさかまともに食らうとは思いませんでした」
「てめぇ!!」
煽り耐性がなかったようで、声を荒げながら睨む彼を見ながら私は続けます
「弱いのに口数は多いのですね
たしかあなたの世界にぴったりな言葉がありましたね」
私は彼に向かってニコリと微笑みながらいった
「えっと弱い犬ほどよく吠えるでしたっけ?ピッタリですね!」
「ふざけるなぁぁぁぁ!!」
顔を真っ赤にしながら叫ぶ彼を見ながら『頭良さそうにしている上から目線の奴は煽ると、すぐに怒って隙が生まれて戦いやすくなるぞ』と言っていた隊長に感謝しながら、私は剣を抜きました。
「弱くないなら、証明してみなさいよ
・・・できるならね」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます