時は遡ってオリュンポス帝国

 オリュンポス帝国の城、彼のいた世界のいわゆる中世ヨーロッパの城のような作りをしている玉座の間、その奥に彼はいる。


 似合っているとはお世辞にも言えない真っ黒なクソださロングコートを着ている10代後半・・・資料によると16歳だそうだ


 その玉座に座っている人の周りには女性が10人

全員彼の婚約者だそうだ


「・・・つまりなんだ、この俺、皇帝に死ねと言うのか?お前は」


「・・・そういう事になります」


嘘はつけない、奴の婚約者の中に真偽を見抜く能力に目覚めていることは調査部から取り寄せた資料から確認済みだ。


下手に嘘をついて相手の不評を買うのは目に見えている、だからと言って馬鹿正直に話したところでこちらの言うことを聞くはずもないだろう。


なにせ相手に死んでほしいと言っているようなものだ。


女性を好きなだけ手に入れ、とてつもない力を持ち自分の国を持つ


そんな人間に死んでくださいと言って死ぬような人間ではないだろう。


それでも私は話さないといけない


だから


「はぁ・・・お前は馬鹿か?」


玉座のひじ掛けに寄り頬杖を突きながらこう答えた


こうなることは予想できる


というかコイツの態度はなんだ、仮にも使者という扱いだぞ


なんだコイツのやれやれめんどくさいなーかったるいなーと思っているような態度


外交というものや交渉をなめてるだろふざけんな


「・・・」


と思ってもそんなことを言うと余計に不機嫌になるので黙っている。


「お前はこの僕にオリュンポス帝国の皇帝であるこの僕に死ねというのか?」


オリュンポス帝国とかよく言えるな


顔を伏せていてよかった


思春期にも限度があるだろ


「不敬だ。死ね」


は?


そう思ったが最後私の意識は暗転してしまった






「・・・はぁ やれやれまったく面倒な」


血まみれになった交渉部とやらから来た使者を眺め玉座に背中をあずけながら呟いた。


なんで俺をこの世界に送った神様の関係者に死んでほしいといわれるのかまるで分らないな。


「お疲れ様です秋斗さん」


「ん ありがとう」


「しっかしとんでもないやつね秋斗に死ねだなんて」


「そうだね 秋斗にはまだ責任を取ってもらってないからね」


「ソウダネー」


あまり思い出したくないものだ


俺は彼女たちと婚約しており18歳になったら一気に10人と結婚するんだ。


逃げ場なんかない


でもまいっか、みんな綺麗で好みだし10人ぐらい責任取ってやるよ!!


「秋斗さん!!」


婚約者の一人のクーティが血相を変えてやってきた


「どうしたの?」


「今未来視が発動してこの帝国が滅ぶ未来が見えたんです」


「なんだって!!」


クーティ眼は数日先の未来が見える未来視の眼、言っていることが本当なら大変じゃないか


「どうして帝国は滅ぶんだい?」


クーティの肩を掴み俺は聞いた


「7人の天使が帝国を蹂躙し秋斗さんを殺すんです!!」


僕が殺されると聞いた途端後ろからすごい殺気を感じた


恐る恐る振り返ると、9人の婚約者がそれはそれはすごい顔をして怒っていました


「へー」


「クーティどうやって侵攻されるのか覚えているのでしょうね?」


「は、はい秋斗さんの魔法で記憶力は良くなっていますから完全に覚えています」


「それは上々、ではそれを基に対抗策を考えましょう 私たちのお婿さんに手を出すとどうなるか教えてあげましょう。」


そう言ってみんなが会議室に行く中流れについていけず俺だけがポツンと残されてしまいました。


「やれやれ全くどうしたものか・・・」


こんなことを言ってみたが答えは単純


俺を殺そうとする連中に二度とこんなことをさせないようにわからせてやる。


「・・・しかし、まさか彼らの言っていたことが本当に起こるとは」


何でこんなことに・・・


俺は平和に暮らしたいだけなのに


「・・・・」


それにしてもと俺は首と胴体が別れて赤黒い液体を垂れ流している死体を見ながらこう呟いた。


「誰か片づけてくれないかな・・・」

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