第18話 月曜日の朝

「はい。今のところ熱はないですが。咳とか風邪症状も。ただ、今朝になって急に怠いだるいって言って…」

お母さんがスマホで話している。電話の向こうの先生は誰だろう?朝の始業時間にはまだ早いから担任の先生かな。

 私は無理矢理にお粥を口に運びながら考えた。風邪をひいたり体調が悪い時にいつもお母さんが作ってくれる塩ダシで味付けした卵入りのお粥。どんなに熱があっても食欲がなくても、このお粥だけはいつも美味しく食べられるのに、今日はなんだか美味しくない。


 先週の2日間、半日づつ学校に行き、今日からいよいよ本格的に学校が始まるというのに、私は学校に行く事ができない。

 昨日のうちに時間割を見て教科書を用意して、朝寝坊して遅刻なんてことにならないように早く寝た。

 なのに朝になってみたら気分が悪い。身体がだるくてベッドから降りられない。お母さんが私を起こすつもりで部屋のドアをあけて言った。

「あれ?なに?顔色悪いね…」

お母さんが慌てて体温計を持ってきたけれど、36.4度。せきもないしのどに異常も感じない。

ただ、なんだか身体からだが怠くて、それにドキドキする。そして…なんだか…

モヤモヤする…?

うまく言葉にならなくて、お母さんには怠いだるいとだけ伝えた。

お母さんは

「これから熱が出るのかな?」

と言って、やっぱり風邪を疑ってるみたい。食欲のない私にお粥を作ると、学校に電話をした。


「今日はお母さん、遅出だから。念のためにお婆ちゃんに来てもらうね。具合がわるくなったら…熱が出たらお医者さんに電話してから行くのよ。」

学校への電話を切ると、お母さんはお粥を食べる私に言った。


 お粥を食べ終わって自分のベッドでゴロゴロしているうちにドキドキやモヤモヤが収まってきた。

「じゃあ、お母さん行くからね。大人しくしてるのよ。お昼にはお婆ちゃん来てくれるからね。」

 お母さんは部屋をのぞいて早口に言うとバタバタと出かけて行った。

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