第6話「終末論」

 明日世界が終わる。

 私だけがそれを知ってる。

 だから、私以外はいつも通りの平常運転。

 世界最後の登校。

 世界最後の数学の授業。

 世界最後のお昼ご飯。

 世界最後の放課後。

 「世界最後の」という接頭語があらゆるものに付く。

 目に映るものすべてに「世界最後の」とラべリングすると、はた、と気づく。

 日常とは何て「特別」に満ちているのだろう?

 特別の連続が日常なのだ。

 あらゆる事が「これっきり」だったら、それの何と悲しいことか、寂しいことか。

 明日があることの何とありがたいことか。

 でも。

 明日世界は終わる。

 私が終わらせる。

 私を終わらせる。

 世界最後の下校途中。

 最後に君に会いたかったな。

 なんて思いながら。歩く。

 それが私の終末論。

 日が沈む。


●了


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