第6話「終末論」
●
明日世界が終わる。
私だけがそれを知ってる。
だから、私以外はいつも通りの平常運転。
世界最後の登校。
世界最後の数学の授業。
世界最後のお昼ご飯。
世界最後の放課後。
「世界最後の」という接頭語があらゆるものに付く。
目に映るものすべてに「世界最後の」とラべリングすると、はた、と気づく。
日常とは何て「特別」に満ちているのだろう?
特別の連続が日常なのだ。
あらゆる事が「これっきり」だったら、それの何と悲しいことか、寂しいことか。
明日があることの何とありがたいことか。
でも。
明日世界は終わる。
私が終わらせる。
私を終わらせる。
世界最後の下校途中。
最後に君に会いたかったな。
なんて思いながら。歩く。
それが私の終末論。
日が沈む。
●了
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