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どれくらいの間、寝続けていただろう。

僕は外から差し込む月明かりと祈りの声で目が覚めた。

それは姉さんの声だった。

最初に姉さんと会話をしたときは気付かなかったけれど、僕が寝ているここは僕らの部族で使われていたのと似ている植物で作られた簡易的なテントの様だった。

まだ鋭利な痛みが残る両脚を引き摺る様に姉さんの声を追って、外に出た。

「姉さん、それはなんの祈りだい?」

「やっと、意識が戻ったか。これはイシャリハへの祈りだ」

イシャリハ。

それは聴いたこともないものだった。

「解らなくても当然だろうな、イシャリハは私達の部族が真に崇める、私たちとは違う星の部族」

「違う星...?」

「5000年ほど前の事だ、イシャリハの民がこの星にやって来たのは」

姉さんは一つの大きな石を指差した。

「このロケツという石に乗り込みイシャリハの民がこの地に落ちて来たと言う。そして、かの民は偶然居合わせた我々の部族インデガリハに助けを求めた」

「まって、姉さん、僕には何がなんだか」

「空を見てみろ、無限に輝く星々、私たち以外の生き物があのどれかに居たって不思議ではないだろう?」

「その、イシャリハの民とやらがその私たち以外の生き物とでも...?」

「そうだ、この孤島へと落ちて来たイシャリハの民は我々に知識を授け、そして余命をこの地で全うすると決め、我々に故郷への祈りを託した」

とてつもなく大きな話だった。

僕らの普段の生活で使う"数"や"文字"もイシャリハから齎された物だと姉さんは語った。

そして、硝子の川はイシャリハの民が残した"キカイ"と言うものが壊れ、荒ぶる魂に呑まれた故に産まれたものだという。

「この発展への恩に報いるために、私達の部族は遠く離れた青い星イシャリハに祈りを捧げているのよ」




そして僕は姉さんと共に感謝の祈りを空に捧げるのだった。

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