第17話:アンデッド討伐と新たな出会い
改めて今回の依頼は、アンデッドの複数討伐である。
アンデッドとは、人間や魔物の死体が魔力の多い土地に長くあることで、その死体に魔力の核が宿り生まれる魔物である。
「さて、アンデッドとは言うが俺の想像していた死なない訳ではなさそうだな」
俺は、ドードの共同墓地にて早速アンデッドとの戦闘を開始していた。
アンデッドの倒し方は、胸部のあからさまに光っている核を壊すだけ。倒した後は、体の一部を回収し集会場に持って行けば依頼は完了となる。
しかし、今回の依頼は「アンデッド討伐」としか書いておらず、規定の討伐数はない。つまり、倒せば倒すだけ報酬が増えると言うことである。
「こっちは休み無しに一生、生きてられるんだ。日が昇るまでやってやろうじゃねぇか!」
俺は、地面の土を操り手頃な槍を作り一体一体の核に突き刺していく。
核を壊されたアンデッドは、すぐに活動を止め、ただの死体に戻る。
「今ので10か……。この調子だと100体いくんじゃないか?」
「まあ、それだけの死体があればな」
アンデッドと俺が戦っていると、深々とフードを被ったランタン付きの杖を持った女が現れる。
「所詮、死体だ。ほとんどはもう、この大地に分解されている」
「確かに……」
「ほれ、あの集団で最後のようだぞ?」
「あ、ああ」
俺は、女の指さした方のアンデッドを手際よく倒す。
「強いな、お主」
「アンデッド相手じゃこんなものじゃないか?」
「3、4体ならな。一気に15体も倒すのは異常だよ」
「そうなのか。というか、あんた誰だ?」
「私は、ヴィーツ。私もアンデッド討伐をしに来た、無所属騎士さ」
ヴィーツは、騎士証明書を見せて自己紹介をする。
確かに彼女は、無所属騎士のようだ。
「俺は、キト。同じく、無所属騎士だ」
「しかし、もうアンデッドは全部倒されてしまったようだな」
あ。
「すまん。半分くらい分けようか?」
「いや、いいさ。またほかの依頼を受けるとするよ」
「そうか、悪かったな」
「構わん。それより、お主も集会場に行くのだろう。良ければ共に行かんか?」
「ああ、いいぞ」
そうして俺は、ヴィーツと一緒に集会場へと向かった。
無所属騎士集会場は、一日中動いており夜間にも依頼の達成報告が可能である。
「じゅ、15体?!」
俺の達成報告を聞いた受付の男は、ひどく動揺している。
「な、異常だと言ったろ?」
「ウム……」
「さて、私は新たに依頼を受けよう。じゃあな」
「……なあ、よかったら手伝わせてくれないか?」
「ん、お主がいいなら構わんが?」
俺は、ヴィーツの依頼を手伝うことにした。
アンデッドを全て討伐してしまった詫びもあるが、アンデッド討伐じゃ少し物足りないと感じたからでもある。
「それで、どんな依頼を受けるんだ?」
「お主の強さは、この目でしっかり見たからな。高難度でも行ってみるか?」
「実際に行ったことがないから、それがどれくらいのものなのか知らないが、俺のこと買い被りすぎてないか?」
「何、この依頼は高難度とは書いてあるが調査依頼だ。少し遠いがな」
「まあ、いいぞ。行こう」
「え、本当に?本当に行ってくれるのか?」
ヴィーツは、俺が承諾するのが予想外だったようで、さっきまでの落ち着いた声色とは裏腹に可愛らしい声を出す。
「それでは、明日の朝に西の門で待ち合わせだ」
「ああ、了解した」
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