鉱石よ、大志を抱け!

ありづき

プロローグ

 

 この世界は、化け物がいてスキルって言う魔法のようなものがある。

 この世界の人間は、それらと戦う力もなく必死に生きてきた。

 そしたらなんと、勇者って言う存在を手に入れた。

 その勇者は、人間でありながら数多の化け物と渡り合えるほどの力を持っている。

 だからといって、勇者も人間だ。

 戦っていられるのも、精々40年ほど。

 優に200年は生きる化け物たちとは、差があった。

 だが、そんな人間に転機が訪れた。

 世界の魔力による災厄。

 それは、世界のどこかで溜まりに溜まった濃い魔力が暴走し世界全体の魔力を強め、魔力を持たない者にも魔力を与えた。と言うものだった。

 これをきっかけに、人間は大きな被害を出したが、代わりに化け物と戦うための力を得た。

 嘗て、勇者だけが使用できていた“スキル”を人間は得たのだ。

 それからの人間は、劣勢ではありながら無力だった頃とは見違えるほどの進化を遂げていった。


 そんなある日、何代目かの勇者が引退間際に言った。

「私は、勇者の力をより強力にするものの気配を見つけた」

 そして発見されたのは、3つの鉱石だった。

 その鉱石から作られたのは、二つで鎧を、もう一つで武器を作った。

 その装備は、次代の勇者に託された。

 その装備を使用した勇者は、先代勇者の言うとおりその力を数倍にもした。

 時には、雲よりも高い龍の首を落とし。

 時には、地の底の悪魔をも討った。

 しかし、その装備はその勇者が任を離れるとともに朽ちてしまった。だが、それとともにその勇者が言った。

「私も、その気配が分かる」

 こうして、勇者の歴史に“勇者の石”が記された。


 それから幾年が経ち、何人もの勇者が誕生していった。

 そして、現在、歴史初の出来事が起こる。

「貴様が、魔王……。その邪悪なる存在、ここで私が討たせてもらう!」

 暗闇のような化け物と、一人の勇者が戦い敗北。

 装備を手にした勇者の歴史に、初めての敗北が刻まれたのだった。

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