いざ物件探しへ!



「さて…物件探しに行こうかな…」

結局ほぼ寝れなかったアスタルテはベッドから抜け出し朝ごはんを食べていると、レーネとノレスが起きてきた。




ゼルとコトハはどうやらまだ寝てるみたいなので、とりあえずこのまま物件を探しに行くことになった。





「とりあえず私の知り合いの所へ行こうか」

アスタルテの手を引きレーネは歩き出す。




(レーネさんって王子様系だよな…女子高とかでモテそう…)




まあそれもアニメのイメージだから実際は分からないけども。







しばらく歩くと、『何でも屋』という看板のついたお店に着いた。




「…何でも屋?」

アスタルテが疑問に思うと、それにレーネが答える。




「ここはチャムというドリアード族が経営しているお店でね、物件についてだけでなく、その家の地盤や土の栄養状態まで分かるんだ。きっと力になってくれるよ」




そう言って扉を開ける。




「いらっしゃいませ〜」

中から声がして見ると、下半身が木の根っこのようになっている娘がいた。

髪?と言っていいのだろうか?頭からは花や葉っぱが生えており、肌は薄い緑色だった。





頭に付いている花は本物の花なのだろうか…?

疑問を感じたアスタルテはそっと頭の花を触ってみる。




「ひゃん!?」




すると、チャムは跳ね上がる。

(え、何…?もしかして強く握りすぎちゃった…?)





アスタルテがチャムの様子を伺うと、チャムは頬を紅潮させ手で顔を覆っていた。

「アスタルテ君…キミはやはり大胆なのだな…」

「お主…本当に何人たらし込むつもりなんじゃ…」

見ると、レーネは驚いていてノレスは呆れていた。





「え?え…?」

一体なんの事を言っているんだ…?

訳が分からず困惑していると、アスタルテの手をチャムが掴み、顔を覗き込む。




「えっと…?」

「うぅ…私、こんな熱烈なアプローチは生まれて初めてです〜…」




あ、あぷろーち…??




頭がハテナだらけで困惑していると、見かねたノレスがため息をつく。

「お主…また無意識なのか…?よいか、種族ごとに様々な求愛があるんじゃが、ドリアード族への最大の求愛がその特徴である頭の花への接触なんじゃ」




レーネがうむ、と頷きノレスは続ける。




「特に今の様なのはドリアード族が最もされて喜ぶ触り方じゃぞ…」





え?ちょっと撫でたのが?最も喜ぶ触り方…??





「ここまで無意識にできるのはもはや才能じゃな…」




ノレスが呆れるようにアスタルテを見つめる。






(なんでいつもこうなるんだー!!)





これからは慎重に行動しようと反省するアスタルテだった。












▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲

















「こちらの物件は非常におすすめとなっております~」

チャムに案内され着いたのは貴族でも住んでいるのかと思うほどの大きなお屋敷だった。

「ええと…大きすぎません…?」

普通の一軒家くらいで良かったのだが、何故かここに案内されたのだった…





「と言われましても、あれだけのお金だとこれくらいが妥当ですよ~?」

チャムは袋の中のお金を見ながら言った。

まだこの世界の貨幣価値がいまいち分かってないのでとりあえずギルドからもらった額の半分を見積として渡したのだが、どうやら一軒家だと数軒分買えるくらいの額だったようだ…





後からノレスに聞いた話だと、この世界には紙幣というものは存在しておらず、全て硬貨らしい。

種類としては、




銅貨1z

大銅貨10z

銀貨100z

大銀貨1000z

金貨1万z

大金貨10万z

閃金貨100万z




といった感じで一つ一つに大小の大きさがあり、そして最上級に閃金貨というものがあるそうだ。

アスタルテが住んでいた世界に置き換えると、1z=10円くらいの価値になるみたいだ。





そしてギルド長から渡されたのは一人につき大金貨3枚と金貨20枚だった。

ノレスもそれを受け取ったのだが別にいらないらしく、どの道私が住むのなら自分の住むということでお互いの合計を割った額50万zを見積に出したのだ。




アスタルテのいた世界で言うと500万円と、一軒家すら買えないのでは?と思う額ではあるのだが、この世界では建築は魔力を使うことで労力が全くかからず、しかも土地が余りに余っているため非常に安く済むみたいだ。





(にしたって、流石に2人で住むには大きすぎるよなぁ…)

アスタルテが悩んでいると、レーネが肩を叩く。

「アスタルテ君、実は一つあってね。これはゼルとコトハもいるときに話したかったのだが…」

レーネが少し悩んだ素振りを見せたあと言葉を続ける。





「アスタルテ君達が良ければ、一緒に住まないか?」

「へっ?」




まさかの提案に思わず声が出るアスタルテだった──────


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