異世界転生のキャラクリエイトを《おまかせ》にしたら幼女で最強で200歳で!?!?

あすれみ

序章

貴方にはこれから、次の世界へ転生するための肉体を創造して頂きます。





俺の名前は神門詩憐みかどしれん、どこにでもいるごく普通の大学生だ。




────いや、というべきか。




俺はどうやら・・・死んだらしい。





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2020年10月。

その日、俺はいつも通り大学へ通うため家を出た。

駐輪場に停まってるバイクのエンジンを掛け、走り出す。

「ふぁあ・・・」

昨日はハマっているオンラインゲームのイベント開催日で徹夜してしまい、自然とあくびが出る。



「やばい、眠すぎる・・・帰って寝たい・・・」

そうしたいのは山々だったが、前期でサボっていたせいで単位数はギリギリだった。

今はもはや1つ単位を落としただけで卒業はおろか、進級すら危うい状態だったのだ。



「もー、前期の俺は何やってたんだよ~・・・」

そんな事をぼやきながら、赤信号で停車する。

横断歩道の信号が点滅していないのを確認し、ギアをニュートラルに切り替える。

「今日の講義は何しようかなー」

詩憐は講義中、大体アニメかゲームの実況を見ていた。

ちゃんと出席さえしていれば単位をもらえたからである。

勿論すべての講義がそういうわけではなかったが、今日の講義は“単位稼ぎ”と呼ばれる楽なものであった。

「そういえば、今日はアニメの最新話配信日だったっけ・・・」

今日の予定を組んでいた詩憐に違和感が走る。



からトラックが向かってきたからだ。

運転席をよく見ると運転者は俯いており、詩憐の目には髪の毛だけが映っていた。


いわゆる、居眠り運転である。



「えっ、ちょ、冗談じゃないぞ!?」

詩憐は慌ててクラッチへと左手を移動させ、ギアを一速に落とす・・・!

必死で車体を動かそうとしたが、焦りからか上手く半クラッチに繋ぐことができず、その場で無駄にフカしてしまう。

そしてガクンッ!と車体が前に動いたかと思えば、沈黙してしまった。



────そう、エンストしたのだ。



(駄目だっ!バイクを置いて逃げよう!!)

急いでバイクから降りようとした詩憐の視界がふと暗くなった。

「っ・・・!」



ゴゥシャッ!!!




轟音と共に詩憐の身体が宙を舞う。

時間にして一瞬だったが、詩憐にはひどく時間がゆっくりに感じた。

(あ~あ、こんな事なら、帰って寝れば良かったかなぁ・・・)

薄れゆく視界の中、呑気な事を思いながら詩憐はその意識を手放した────







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目が覚めると、詩憐は見たことのない所に横たわっていた。

(なんだ・・・ここ・・・)

そこは電子の海のような光のラインが這う空間だった。



「目が覚めたのですね」

まるで立体音響のような声が聞こえ、辺りを見渡すとそこには見知らぬ女性が立っていた。

波打つ白い衣装を身に纏いうっすらと後光が刺すその姿は、おとぎ話に出てくる天使のようであり、神様のようでもあった。

訳がわからない状況に言葉を失っていた詩憐だったが、目が覚める前の出来事を思い出す。

「そっ、そうだ!俺はさっき、トラックに突っ込まれて・・・助かったのか!?」

自分は助かったと思い、思わず笑みがこぼれガッツポーズを取る。

しかし、その笑みはすぐに消える。

なぜなら、どう考えても身体がおかしいからだ。



フルスピードでトラックに突っ込まれたにもかからわず、その身体には無かったのである。



(そんな・・・まさか・・・!)

顔を上げると女性と目が合った。

その目は困っており、悲しそうな顔をしていた。

その顔を見て詩憐に押し寄せる疑惑は確信へと変わった。



────自分は、死んだのだと。



それを察したのか、女性は口を開いた。

「神門詩憐、貴方は交通事故により死亡しました」

(そう・・・だよな・・・あんなの食らって生きてる方がおかしいもんな・・・)

「貴方にはこれから、次の世界へ転生するための肉体を創造して頂きます」

「・・・・は?」



こうして、俺のキャラクリエイトが始まるのであった────。

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