たいだくんの創作
@Uslothman
美咲さんの話
吸血鬼の王に1番に気に入られている側室がいた。
周囲の人物、特に正妻はその事が気快く思っていなかった。
また、正妻は長らく子供が出来ないことに悩んでいた。
側室と王の間に第一子、「テレジア」が生まれた。
鉄級(アイアン)、銅級(ブロンズ)、銀級(シルバー)、金級(ゴールド)、白金級(プラチナ)、金剛石級(ダイヤモンド)
とあるランクの中で黒髪、鉄級の彼女は周囲の反応こそ悪かったが、唯一の娘であり側室によく似た彼女を王は気に入っていた。
テレジアに王位継承権が行けば側室の立場が上がり、正妻の立場は落ちる。そこで正妻は側室の暗殺計画を立てた。
暗殺は実行されそのことは隠蔽された。
王ですら知らない真相に当時3歳のテレジアは辿り着いていた(しかし、3歳児の言うことに耳を傾ける者はいない上、言えば身が危ういことからテレジアは口外せずにいた)
側室を失った王は、すっかり腑抜け正妻の傀儡のようになる。
だが同時に彼女によく似た娘であるテレジアを女として見るようになる。
テレジアが6歳の時、正妻と王の間に第二子「アイリス」が生まれる。
アイリスは金髪、金級であり正妻の娘であることから王位継承権は彼女にいくのが自然の摂理。
テレジアを気に入りながらも周囲の反感を恐れた王はアイリスに王位継承権を鞍替え。
このことからテレジアの扱いは更にぞんざいなものになっていく。
アイリスが成長するにつれ、テレジアとの比較で彼女に劣っていることが発覚していく。アイリスの評価が怪しくなると正妻は、今度はテレジアの暗殺計画を立てる。
暗殺計画はことごとく失敗する。正妻は、そのあまりに高いテレジアの能力から、テレジアのランクは鉄級ではなく伝説上のランク、かつて初代の吸血鬼の王だけが位置したとされる黒金剛石級(ブラックダイヤモンド)ではないかと疑う。
第一子であり、更に黒金剛石級となれば王位継承権はテレジアにいってしまう。それを恐れた正妻はついに自らの手でテレジアを手にかけようとする。(ランクの高い吸血鬼である正妻は、部下よりも強い)
だがテレジアはほとんど使える者のいない「先祖返り」の力や常識を逸したブラッディウェポンを駆使してそれすら失敗する。
しかしテレジアが自分を下すその状況を、正妻は利用した。正当防衛を主張しこれが通ると、テレジアを追放する。
当時9歳のテレジアは東端の国へ追放される。だが腐りきった王家に嫌気がさしていたテレジアはその身分も名も自ら捨てる。ただの無名の吸血鬼として日本で生きていくことを決める。
その場に昔から住み着く者や、同じく追放された悪性の強い吸血鬼(不要な殺人を犯す、不必要な量の血を吸うなど)から血を吸って生きていた「無名」は、ある日悪の吸血鬼に襲われていた人間の男性を助けた。
彼は過去に妻とその胎内にいた娘を事故失っていた。生きていれば同じ年頃のテレジアに彼は助けて貰った礼も兼ねて「無名」を家族として迎え入れる話を持ち出す。
誰かと重ねられることを快く思わない「無名」であったが、悪い話ではないため承諾する。「無名」は彼の姓である「四宮」と娘に名付ける予定であった「美咲」の名を受ける。「無名」は「四宮美咲」として生きることになった。
最初は生まれるはずだった娘と彼女を重ねて見ていた彼だったが、次第に彼女自身を愛するようになる。
それを感じとって美咲も次第に彼に心を開いていく。
美咲は父の提案で学校に通うことになる。真に自分を見てくれる父親の存在と、学校での経験で美咲は明るい性格になっていく。
だがその父親を病気で失ってしまう。
財産を受け継いだ美咲の元へ、かつては顔を見せることもなかった親類達が次々と現れるようになる。
嫌気のさした美咲は家を囲う森に結界を張る。
以降この森は「常闇の森」と呼ばれ、人の力寄らない場所になる。
常闇の森には魔女がいて、踏み込んだ者は血を吸い尽くされて死んでしまう。
そんな噂が流れるようになる。
(実際は森を閉ざしてなお、美咲の財産を狙う者や盗みを働こうとする者などが制裁を受けていた)
(美咲が13歳の時、王家はヴァンパイアハンターの襲撃を受けていた。腑抜けた王とそれを操る身勝手な正妻、統率の取れない彼らはいとも簡単に全滅した。唯一逃がされたアイリス(当時10歳)は、かつて東方に追放された姉を探して旅に出る。)
時が経ち美咲は16歳、高校2年生になっていた。
時間も経って落ち着いた彼女は、人間に上手く擬態して生活していた。
そこに転校生、「朝比奈叶」がやってくる。
朝比奈叶はかつて王家を襲撃したヴァンパイアハンターの筆頭だった。彼は吸血鬼達が死に際に放った情報、追放された娘「ブラックダイヤモンド」の存在を追いかけて日本に来た。現地で「常闇の森の魔女」の噂を聞き、それらを結びつけた彼はその近くと思われる高校に潜入捜査へ来ていた。
そんなことは知る由もない美咲は叶と打ち解けていく
(しかし叶は転入先の学校で、美咲に一目惚れする。恋をしたことのない彼の初恋であり、また自分に振り向かない初めての女性である彼女に彼は夢中になってしまう。
さらに人間に上手く溶け込んでいる彼女が、くだんの「ブラックダイヤモンド」「常闇の森の魔女」であるなど思いもしなかった)
そんなある日、美咲はいつも通り、悪の吸血鬼狩りをしていた。そこに同じく吸血鬼狩りをしていた叶と遭遇する。
叶に美咲はすぐ気づいたが、顔を布で覆った黒装束の美咲に、叶が気付くことはなかった。
美咲だけが、彼が敵であることを認知した。
それから何度か彼らは刃を交えたが、叶が美咲に気付くことは無かった。
そのまま時間が過ぎた。ある日、美咲がいつも通り帰路につく途中、見覚えのある姿の少女が彼女を呼び止めた。その少女は憎き実母の仇である正妻、その娘であるアイリスだった。
だが美咲は叶との戦闘の最中で、王家が滅びたことを知っていた。それ故に最初困惑し、怒りなどを覚えることはなかった。
(アイリスは東方に追放されたという姉、テレジアを追ってロシア、中国などを経て日本にやって来た。再会した姉は美しく育っており、その姿に一目惚れする)
だが捨てた「テレジア」の名を呼ばれたこと、正妻の顔によく似た彼女を見て静かな怒りを覚える。
(そんなことを知りもしないアリシアは「パパに似てる」など地雷発言を繰り返す)
怒りが頂点に達した美咲はかつて正妻にだけ見せた"本気"、先祖返りの力を使ってアリシアを圧倒、死の1歩手前まで追い詰める。
だがアリシアは抵抗せず、美咲を不愉快にさせたことを真摯に謝罪する。その姿を見て正気を取り戻した美咲はアリシアを治療すると、その場を去っていく。
(美咲がかつてよりも圧倒的に強くなっていた要因の1つに吸血鬼の血を吸ったこと、つまり共食いをしたことか挙げられる。
ランクの高い者の血を吸えばその効果も強くなる。
金級であるアリシアは現地の吸血鬼の共食いの対象として目をつけられた。)
アリシア、吸血鬼の集団に襲われる。通常ならば金級の吸血鬼が、ランクの低い(鉄級、銅級などの)吸血鬼に遅れをとることはないが、戦い慣れしてなかったことや数の力に屈して敗北する。
そこに美咲がやってきて集団を打ち倒す。
(アリシア、美咲の圧倒的な強さに更に惹かれる)
美咲は自分を追って日本にやって来たアイリスが今回のような窮地に立たされたことから、保護する意味で自分の家にアイリスを招待する。
アイリスは当然これを受け入れる。アイリス、美咲に合わせて名を「四宮真咲」と改める。
美咲と真咲の二人暮しが始まる。最初は正妻の娘である真咲を受け入れられない美咲だったが、彼女の向ける純粋な好意や、唯一の肉親であるという点からか彼女を受け入れる。
(受け入れられたことで真咲は、元の性格も相まって美咲に積極的になっていく)
そのまま時間が過ぎた。美咲は何一つ痕跡を残してはいなかったが、真咲が出したボロを叶が掴み、常闇の森の場所を暴く。
常闇の森は人間には通り抜けられないが、ハーフヴァンパイアの叶にはぬけることが出来た。
その奥に見つけた屋敷に叶は突入する。
美咲、侵入者の存在に気づく。真咲を逃がすと、常闇の森の結界を初めて抜けた侵入者として、本気(先祖返りの力)で迎え撃つ。
王家を滅びした凄腕ハンターの叶だが、機転を利かせた健闘もむなしく敗北する。
負けを認め、自分を殺すように勧める叶。だが学校で共に暮らし、更に王家を滅ぼしたという点である意味評価できる彼を殺す気が起きなかった。しかし真咲のことを考えれば殺すべきだと考え、代わりに、最後に願いを聞くことにした。
美咲と同様、無敗だった叶が負けた最初で最後の相手。そして自分を殺す相手の顔を見たいと叶は言った。躊躇っていると、戦闘音が終わったことから真咲が帰ってくる。真咲を見た叶は今まで脳裏にありながらも好意を寄せていたために外していた考えを思い出す。諦めた美咲は正体を現した。
顔を合わせて対話したことでいよいよ叶を殺せなくなった美咲、代わりにとどめを刺そうとする真咲に待ったをかける始末だった。そんな美咲の様子を見た叶は、美咲と真咲の正体を他言しないことを約束する。
美咲は約束を破ればその時こそ殺すと宣言して叶を逃がす。
敵でありながら命を奪わなかったこと、初恋の相手であることからも叶の気持ちに変化はなかった。
こうして美咲を奪い合う真咲と叶の、奇妙な三角関係が始まった…!(あらすじの長さじゃねえ!)
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