第32話 魔人島探検③
僕が知っているこの世界の原理、
それは祖父が作り上げた異世界であり、祖父が亡くなる事でそれは全て別な意味で進化した。
そしてまた1から作りなおす必要があるものだと、
そう思わされてきた。
「この世界は沢山の世界と繋がっている。最初は1人の島の物語だった。うちの世界ではこの無人島だらけの島の物語があった。それがここだ。そして物語は破綻したのだ。主人公がいなくなった事により、そしてこの物語は色々な世界のいろいろなものを吸い込みだした。そしてこの魔人島も吸い込まれる事になった。という事がうちの推論だ」
すると先程まで黙っていた祖父がにかりとほほ笑むと、
口を開いた。
「その意見は正しいのう、この世界はわしの物語じゃった」
「やはり、あなたは」
「そうじゃわしが開拓者であった」
「やはり、あの物語で出てくる人でしたか」
「その物語の事は知らないが、この世界が物語であるような気はしていた。だがわしは死んでしまった攻略したつもりでいたがどうやら攻略していなかったようじゃのう」
「そうですか、ですがあなたがここにいるという事は、その人は」
「わしの孫じゃ」
「それなら、そのお孫さんがこの世界を攻略すれば全ては元に戻るのでは?」
「それが出来れば戻しているだろう。1つお主は目をそらしている事がある。この物語の無人島達はなぜ現れるのかを」
「なぜ?」
「滅びるからだ。世界が滅びその世界の大事な物が残る。それだけだ。もう元には戻らんよ」
「そ、そんな」
「だが何かしらの希望があるかもしれない、失ったものを再構築出来るような何かが、それこそ世界再構築、分裂して再構築するのではなく、融合して再構築すればいいのだ。この物語に失われた全てを蘇らせれば」
僕の脳味噌では祖父の言っている事が理解出来なくなりつつあった。
それでもちゃんと耳を傾けて聞くようにしている。
祖父はこう言っているのだ。失われた異世界を別々に再構築するのではなく、
失われた異世界を1つに再構築するという事を。
それって。
「現実世界も含まれている」
「その通りじゃよく気づいたな、現実世界も1つの異世界だと思ってくれていいじゃろう」
「なるほど」
僕が想っていた以上に、この世界の仕組みはとてつもなく入り乱れあっており、
沢山の可能性が秘められている世界なのだという事が分かってきた。
レイさんはずっとテーブルを見つめている。
紅色と茶色に染まった紅茶をごくごくと熱いだろうに飲み干すと。
彼女は一度2階の自室に黙っていなくなった。
それから3分が経過すると、
沢山の荷物を抱えてやってきのはレイさんだった。
「準備は出来たわ、これであなたの島で長く住むつもり、みんなで全ての異世界を結合しましょう」
「僕も協力するよ」
「ありがとう、それで君の名前を教えてもらってないけど」
「僕はヤマアキだよろしくね」
「うむ、よろしく頼む」
レイさんと握手をすると、
僕は外に出る前に尋ねる。
「この島にいる5種類のモンスターを集めておきたいんだ。案内してくれるね?」
「もちろんだ。こちらは援護は出来ぬがな、荷物がありすぎてさ」
「それは気にしないで」
ダークインプとダークコングは攻略しているので、
残りの3種類が非常に興味がある。
僕と祖父は談笑しながら、レイさんに案内してもらう、
とはいえ草原ばかりの一帯なので、周りは見えづらい。
その時レイさんが右手を挙げた。
それは静かにしろという合図だった。
僕と祖父の話は中断されると。
そこにはグリフォンがいたのだ。
鷲の頭に獅子の体を持つ化け物の中の化け物、
大きさは馬を2倍にしたくらいで、翼は大きな羽毛で覆われている。
しかもそいつは3体もいたのだ。
全てをテイムするわけではないが、
1体テイム出来ればいいと思うし、残りの2体は出来れば倒して魔石にしておきたい。
だが1人では難しい、
グリフォンと言えば伝説上に出てくるモンスターの1つとされるし、
「レイ、なんとか力を貸してくれないか」
「そう来ると思ったわ。1体なら任せようと思ったけど3体はきついわね、後ろにいるダークコング2体に荷物を守らせる事が条件だわ」
「ダークコングじゃなくビックフットだ」
「こっちだってスモールゴリだ」
「ごめんなさい、ついあなた達を見るとダークコングだと思ってしまうの」
「「いいのだ」」
「2人とも荷物を守ってくれるか?」
「「任せてなのだ」」
ダークコングのビックフットとスモールゴリは、
命がけで荷物を守るつもりなのだろう、
ドラミングを始めないまでも、
鋭い視線でこちらに訴えかけていたのだから。
草むらの中に僕とレイは隠れている。
ゆっくりと近づきつつも、レイが長弓を構える。
2本の矢を構えている間に。
僕は鑑定をする事にした。
【グリフォン:レベル20:仲間条件背中に乗る】
まじかと心の中で唸る、
本当に背中に乗る事が出来るのだろうか?
それでもやってみないと分からない事がある。
そしてそれをやり遂げた時、1つの希望を掴む事が出来るのだ。
「いくよ」
「おう」
長弓の矢が2本発射された。
これは巧の腕でないと出来ない芸当であり、
2体のグリフォンの体に突き立った。
「ちぃ、頭から外れてか」
グリフォンが鳴き声を発すると、
矢が飛んできた方角を睨みつけている。
痛みよりも報復をしたいという気持ちなのだろう、
そして僕と目があったそいつは、
こちらに猛然っと突っ込んできたのだ。
僕は初めて死を覚悟した。
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