第30話 魔人島探検①

 魔人島に木造型の船で到着した僕達は、

 ダークインプがいる闇色の花畑の所を迂回した。


 新しいモンスターと出会いたいという事もあるが、

 この前ダークインプ狩の時にダークインプの魔石を大量に仕入れていたからだ。

 なるべく他の種類もまとめてマジックボードに嵌めたいという事もあり、

 まだマジックボードに嵌めていない。


 ダークインプの魔石は10個ほど溜まっている。

 この魔人島には森がない、

 その代わりお花畑や草むらの雑草がすごい成長している。

 ただし魔人島を探検する事数分で、

 ダークコングなるモンスターと遭遇する事となった。


 ダークコングを鑑定すると。


【ダークコング:レベル14:仲間条件タイマンで勝利する】


 ダークコングは沢山いる訳ではなく、3体がそこにいた。

 普通に勝負したら集団暴行で殺されるだろう。

 だがダークコングはタイマンが好きみたいなので、 

 少しダークコングのバトル精神に賭けてみる事とする。


 僕は草むらから出ると。


「落ち着け、ダークコングは右手と左手のパンチの威力が桁外れ、お主が付けているデビルアーマーなら大丈夫じゃ」


 現在僕が装備しているのはエンジェルスタッフとデビルアーマーであった。


 僕は【ダメージ削減】と【剣豪レベル2】が発動している事を意識する。

 この2つのスキルは常時発動し続けている。

 それを認識する事はとても大切な事だ。


 エンジェルスタッフを杖状態から魔法剣状態に変形させると。

 ダークコングの前に僕はゆっくりと歩いて行く、

 周りのコングたちがドラミングをして、こちらを威嚇する。

 僕は魔法剣をびゅんと振り下げる事で、

 戦う意思を表明する。


 すると3体の中でひときわ大きいダークコングが前に出てくると、 

 奴は胸をドラミングして、

 僕と距離を置いて、一騎打ちのようなタイマンを始める覚悟を示す。


 僕はそうでなくちゃと、頷く、


 エンジェルスタッフの魔法剣で攻撃を仕掛ける事にする。

 ダークコングは太い両腕を地面に叩きつけて、右に避ける。

 僕の剣筋は途中で停止する。

 寸止めをして、隣に避難したダークコングが左から拳を振り上げて、

 僕の顔面に飛来した。


 それを後ろに下がる事で避けると魔法剣による攻撃が炸裂する。


【先読み思考】を発動させる事にする。

 

 ダークコングの次の攻撃が軌道が見えてくる。 

 僕はその軌道を右に避けたり、左に避けたりし続けていた。

 ダークコングのワンツーの攻撃はとても精工なるもので、

 緻密な計算をしていないのであろうが、

 それでも真っ直ぐに攻撃が飛来し続けている事から、

 やはりレベル14は伊達ではないという事だ。


 だって今の僕のレベルは6なのだから、

 2倍以上の差があるこの状況でよく挑戦したと。今更ながら思ってしまう。


 避け続けていると。スキルが覚える事もあるみたいで。



―――回避レベル1を習得しました―――


 ダークコングの攻撃をひたすら避け続ける事30分、 

 回避レベルは上昇を続けていた。


―――回避レベル2を習得しました―――


 それでも僕は回避し続ける。

 このダークコングなら回避レベルを上げるよきレベリングパートナーなりそうだったからだ。


―――回避レベル3を習得しました→フルになりましたので進化します―――

―――回避レベル3から→超回避レベル1を習得しました―――


 そこからの攻防はほぼ虐めと言っていいほどだった。

 僕がダークコングの攻撃をひたすら避け続ける。

 ダークコングは疲れがようやく見えてくる。

 それでも30分以上はかかる事になり、

 

―――超回避レベル2を習得しました―――



 さらならうスキルアップに、

 そろそろダークコングはぜいぜいと息を荒げ始めている。

 ダークコングレベリングは一時中止にして、

 僕はエンジェルスタッフの魔法剣の魔法で体を強化するイメージをする。

 それが発動の条件となり、


―――強化魔法を習得しました―――


 本当に都合がよく強化魔法を習得する事に成功した僕は、

 右手と左手を強化して、

 殺さないように殴るとイメージしながら。


―――手加減を習得しました―――


 手加減する事をイメージしていたら、手加減というスキルを覚えてしまったようで、

 意識しながら、手加減スキルを作動させる事にする。

 ぜいぜいとダークコングは力尽きそうになりながら、


 僕の魂の拳を顔面に食らって、

 くるくると回転しながら、後ろに吹き飛ばされる。


 島の平原地帯という事もあり、

 草むらを引きずりながら後方に飛ばされ、

 しばらくすると残りの2体も喧嘩を売ってくるので、1体をタイマンで負かして、1体を息の根を止めて、ダークコングの魔石を手に入れる事に成功した。

 モンスターを倒したら確実に魔石を手に入る訳ではないことを最近知り始めた。



 2体のダークコングがこちらをじっと見ていた。


「ダークコング2体が仲間になりたさそうにしています」


 もちろん答えは決まっていた。


「おめでとうございます。ダークコング2体をテイムしました。名前を付けてください」


「大きい方がビックフットで小さい方がスモールゴリで」


「ビックフットは強そうで良いなぁ、ありがとうご主人様」

「小さいから仕方ないさ、でも強さはぴか一なのさ」


「2体ともよろしくお願いしたい、さっそくだが仕事で僕の護衛を頼みたい」

「それはもちろんでございます。ご主人様」

「ふふ、このスモールゴリに任せな」



 ビックフットとスモールゴリに護衛されながら、僕はこの島の探検を続ける事にする。

 そう言えば、今更だけど【初級モンスター島】で精霊のシルフの魔石を手に入れる事を忘れていた。野生のシルフなら倒す事が出来る気がするが、あの可愛らしい精霊をこの手にかける事を思うだけで恐ろしさに震えていた。



 しかしいつかはやらないといけない事でもあるのだと僕は今考えていたのであった。


 3体は歩き続ける。

 魔人島、

 そしてそこに到達したのだ。

 魔人島には村があったのだと。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る