第29話 収穫ボックス

 自宅に戻ると、いつも通りお風呂を済まして夕食を食べる事にして、

 母親と軽く話をして、さらに父親が帰宅したので軽く話をして、

 勉強するからと呟き、僕は祖父の分館に行く


 両親は僕が勉強をする為に祖父の分館に行っている事は知っている。

 それは異世界無人島に行く前からもそうしている事だ。


 祖父の分館のほうが色々と資料があるし、

 祖父に勉強を教えてもらっていた時期もあり、

 そのせいか分館にいた方が集中出来るという僕の言い分を信じてくれているという事もあるだろう。



 そいていつもの如く、僕は異世界の無人島にやってくる訳だ。

 窓から外を見ると、また1つ島が増えていた。


 それは遠くから見たら沢山の小さな島がある。 

 その数を数えたらきっかり100個の小島があった。

 100個の小島で1つの島のようだから、

 その島の名前を100の島と名付ける事とした。


 僕は外に出る前に、祖父の隠し部屋に辿り着いていた。

 本棚から一冊の本を引き抜くと開かれる部屋、男の子なら夢見た隠し部屋。


 そこに入ると、錬金術師の部屋で1人の女性が一生懸命に薬を作っていた。

 薬と言ったら危ない薬のイメージがあるが、

 彼女は回復ポーションとかを作ろうとしているのかもしれないし、

 また爆薬を作ってしまうのかもしれない。


 ミュンさんが一生懸命頑張っているのを見たら、僕も頑張らないといけないと思いつつ、

 扉をゆっくりとしめて、

 隠し部屋から出て行く、

 この隠し部屋は異空間みたいなものに繋がっており、 

 島レベルが成長すればどんどんと大きくなり、

 沢山の人々が住める環境になるのだとか。


 僕は外に出る事にする。

 まだ祖父は呼ばないでおく、

 僕は僕の目で見たい事があるのだから。


 僕はモンスター達を素早く把握する方法がないかを考えていた。

 鷹の目で観察する方法もあるが、

 その時まるでご都合主義のように覚えたものがある。



―――モンスターマップを習得しました―――


 というものだ。

 それを使用すると、

 島の全てのモンスターを把握するようで、

 さらに鷹の目も使用して、

 空に魂分離すると、

 辺りを把握する事が出来る。


 右手にホログラムの地図が出現する。 

 モンスターだけなら詳しい地形はないが鷹の目を使用する事により、より詳しい地図が表示される。


 モンスターマップと鷹の目のダブルコンボスキルを覚えたようだ。

 そして全ての仲間モンスターがどこにいるかを把握したので、

 僕は彼等を観察する事にした。


 最初に発見したのはボルル達ビーチスライム達だ。

 彼等は浜辺で貝殻を掃除している。

 恐らくこの島の草原地帯とかそういう細かい所にあるゴミは全て掃除し終えたのだろう。

 彼等の次の目的はビーチスライムだからビーチを綺麗にする事のようだ。


 次に探したのが、グリーンゴブリンの、レッドとブルーとグリーンだった。

 3体は採取を頑張っており、薬草を背中のカゴに一杯入れている。

 どうやらそのカゴは僕がいない時に祖父が地下倉庫から出してあげたのだろう。


 次が精霊食い蜥蜴でのザランだ。

 彼は一生懸命に芋掘りをしていた。

 この島のあちこちには沢山の自然の芋があり、

 それをザランは掘り当てている。

 彼の良い所は掘った穴をそのままにするのではなく、

 また埋めるという事をしてくれるからだ。


 次は巨岩ノームのノーグだ。ノーグは岩などから鉱物を採取している。

 彼の岩の帽子には色々と道具が仕舞われており、

 小さなツルハシで一生懸命頑張っている。


 最後に精霊シルフのシルカと、ダークインプのビップは畑仕事をしているが、

 ビップはシルカが育てた花から蜜を取り出して蜂蜜を作ろうとしている。


「どうじゃ、彼等モンスターは真っ直ぐに生きているじゃろう」

「はい、爺ちゃん」


 呼ばなくても勝手に出て着たのが爺ちゃんだった。


「彼等が集めたアイテム達は、そこの箱に入っている。収穫ボックスと呼ばれるものでな、わしが出しておいた。もちろん魔法でな、物理だと触れないのでな」


「なるほど、まるでゲームみたいですね」


「そういう物だ。それで収穫ボックスに入った奴はお主が定期的に見る必要がある。さぼるなどとは考えぬ方がいいじゃろう」


「そのつもりはまったくないですよ」


「そんな事は分かっている。社交辞令で言ってみただけじゃ、まずは収穫ボックスを見てくれ、後ろから開けるようになっている」


「分かったよ」



 僕は収穫ボックスの後ろやってくる。

 とても大きな箱だった。


 ピアノくらいのでかさに、僕は驚愕しつつも、

 後ろからドアを開く、 

 そこには色々な物があった。


「それをアイテムボックスに一々入れるのはめんどく臭いか、吸い込む方が早い」

「そうするよ」


 僕をアイテムを吸い込む事にする。

 するとい目の前にリスト表みたいな物が出現する。


―――モンスターボックス→アイテムボックスレベル2―――

1 野菜全般10

2 蜂蜜瓶3

3 薬草40

4 土芋20

5 ダイヤ10 サファイア3

6 貝殻20

―――――――――――――――――――――――――――


「なぁ、爺ちゃん、本格的な倉庫とかはマジックボードで手に入れる事は出来るの?」

「もちろん出来るぞ、アイテムボックスと繋がっている倉庫とかなぁ、さらに保冷機能や保管機能がある倉庫もな」

「それなら、頑張りがいがあるよ、さすがにどんどんとモンスターが増えて行くから、その度に収穫ボックスのアイテムを入れ続けるとパンクしそうで」


「まぁ無限大に入るに近いアイテムボックスも沢山ありすぎると色々と大変じゃからのう、ヒントくらいはいいじゃろう、魔人島のあるモンスターの魔石が【万能倉庫】の条件じゃったはず。違ったらすまん」


「爺ちゃんにしては珍しく自信がないんだね」


「まぁの、それを手に入れたのは20代の頃じゃったからて」


「そりゃ自信ないよね」


 僕と祖父はげらげらと笑っていた。


「なら収穫ボックスも分かった事だし、魔人島に行くとしますか、100の島は後にするよ」

「よし、久しぶりに腕がなるわい」

「腕を振るうのは僕だけどね、それと昨日も来たからね」

「ふぉふぉ」


 僕と祖父の無人島育成は始まったばかりだ。

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