第27話 なぜか舎弟が出来ました

 七条さんとは別なクラスなので、

 途中で別れると、 

 僕は現在では虐められる事のなくなった教室に入るのだ。

 中にいるクラスメイト達は、にこりと頷いて挨拶をしてくれる。

 それに対して僕は挨拶をし返すのだ。


 こんなに挨拶が気持ちのいいものだとは、

 思ってもみなかった。

 同じクラスの伊達島君が色々と話しかけてくれた。

 どんなゲームをやってるかだとか、

 どんな漫画を見ているかだとか、

 僕は声を弾ませながら答えていた。


 そんな時だった。

 まだ朝のホームルームが終わっていない時間帯に、

 ドアがスライドするように右から左にばたんと開かれた。


 そこには無数の不良達がいたのだ。

 生徒達は悲鳴を上げて、僕の後ろに逃げる。

 どうやら僕が異常に強い事は理解されているようだ。


 不良達が総勢40名くらいでやってくる。


 そこには丸山君がいて、彼の後ろには先輩の寺伝先輩がいた。

 2人はこちらにガンを飛ばしてくる眼差しで睨んできていたが、 

 僕の前にやってくるとその後ろのメンバーも揃って土下座しだしたのだ。


 僕は唖然と口を開きっぱなしにしながら、

 一体何が起きているのか、理解出来なかった。


「福寺族長がこの地区の族長達に収集をかけて、この高校に殴り込みにくるみたいで、俺様ではもうどうしようもないのです」


「まぁ全ての原因は丸山君と寺伝先輩ですがね」


「面目ありません」

「すいやせんでした」


 寺伝先輩が申し訳なさそうに告げると、

 その後ろでは丸山君がしょんぼりとしている。


「ふむ、それでいつくらいに来るの?」

「はい、先程来ました」


「へぇ、ってえええええええ」


「外でこっちを睨んでいると思いますよ」

「何、人事みたいに言ってるのさ丸山君」


「す、すいやせんした」


「じゃあ、何名くらいかな?」


「1000人です」


「僕に喧嘩無双でもすれと言うのかね?」

「兄貴なら出来ます」


「先輩に兄貴って呼ばれたくないよ」

「なら何と呼べば」

「ふ、兄貴と呼べ」


「了解しやした」


 丸山君が少し考えながらこちらに告げる。


「俺達は高校の入り口をガードしているので、兄貴は思う存分暴れてください」

「何、つまり僕に投げるという事?」


「兄貴の強さなら俺達は必要ないですよね? ね? ね?」


「僕がそんなに強いと思ってる訳? そうさ強いさ、悪いかよ」


「「「うおおおおい、ヤマアキ出てこい」」」



「どうやらお呼びのようです」

「その人事みたいの止めてくれる?」

「兄貴はすごいんですから」

「先輩もその無責任な事言わないでくれる?」


「じゃ、行ってくるわ、ちなみにお前らそんなに大勢で来て意味ねーからね、全て僕に投げるんだから。はっはー」


 僕は窓から飛び降りたのであった。

 後ろから生徒達の悲鳴を聞きながら、

 生徒達も僕のアクロバットな行動力に慣れて着つつあるようだ。


 下には性懲りもなく福寺がいた。

 福寺の今日のヘアースタイルはいつものごとくアフロとリーゼントの融合であった。


「てめーこの前はよくもやってくれたな、今日は沢山の猛者達を集めてきた。てめーらやっちまえ」


「「「うおおおおおおお」」」


 本当に1000人という暴走族達が、それぞれの武器を構えて、

 猛然とダッシュして来る。

 これってゾンビ映画そのものじゃないか、

 僕はきっとゾンビ映画に出てくるヒーロー役の主人公なのだろうけど。


 容赦する事がないので攻撃魔法レベル3Maxの雷魔法を炸裂させる事にする。

 右手と左手からバリバリと閃光のような光を発する。

 暴走族達は皆が真っ青になりながら。


「安心しろあれは手品だ」


 と無責任な事を叫ぶ福寺族長。


「これが手品に見えるならかかってこい」


「「「うおおおおおおお」」」


 暴走族の人々は、

 こちらに襲い掛かって、

 次の瞬間には雷魔法で吹き飛ばされていた。

 本当に無双ゲームのように、雷魔法で弾き飛ばされる暴走族メンバー達、

 彼等は何を思って吹き飛ばされているのだろうか?

 きっと「そりゃないよー」とか思いながら吹き飛ばされているのだろう。

 

 

 僕は200人くらいの暴走族達を吹き飛ばす事に成功する。

 それでも福寺先輩は叫ぶ。


「あんなものスタンガンを改造したんだぞおおおお」


 またもや福寺先輩の無責任な発言に、

 暴走族達はさらにこちらに向かって、

 バッドやら鉄パイプを握りしめて走ってくるのだ。


 僕は、縮地と不意打ちのスキルを発動させると、

 一直線で距離を縮める事しか出来ないが。

 それでも相手は一瞬で近づきやってくる僕に恐怖を覚えている。


 次の瞬間には不意打ちスキルが発動され、

 気付けば地面で気絶しているという状態。

 それを何度も繰り返すと、

 ざっと100名くらいは倒す事に成功する。

 残りは700名はいるだろう、

 僕は深呼吸する。


「族長、あいつ超人です」

「違う、それはまやかしだ」

「族長の目がまやかしなのでは?」

「お前、族長に逆らうのか」

「いえそういうつもりでは」

「早く逝ってこい」

「族長漢字を間違えております」


 そのやり取りを見ながら、こちらから仕掛けるのがめんどくさいので、


 先読み思考スキルを発動させる。

 ゆっくりと歩きながら、まるで王様が歩きながら、

 沢山の暴走族達はこちらが無防備な姿で歩く事にチャンスだと思ったのだろう、

 ほぼ全員でかかってくる700名全員でくるものだから、

 僕はにやりと笑っていた。


 先読み思考スキル、

 それは相手がどのような攻撃を繰り出すのか、

 まるで未来を見るかのように察知する事が出来る。

 その為、超人スキルを常時に発動させている僕に、

 近づくという事は死を意味する。

 まぁ殺すつもりはないけど、まだ刑務所行きたくないし、1000人を正当防衛で殺したとか絶対警察は信用しないだろうし、

 

 次の瞬間、全ての暴走族は空中に吹き飛ばされていた。


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