少年少女
俺の名前はリベルテ。自由を愛する黒羊だ。俺の前には白羊のムートン。それから、黒髪の少女。
二人が睨み合っているので、俺は二人の間に割りこむ。まずは聞いてみるか。
「ムートン、友達か?」
「うん。一週間前からね」
「初めてまして、オネットです」
二人とも俺をはさんで睨み合っている。喧嘩じゃないなこれ、真剣な何かだ。
「リベルテどいてよ」
「リベルテさん。勝負中です」
「あ、ああ……」
俺は二人の間から退散する。俺は窓の近くまで下がった。洞窟の天井に開いた穴から、日光がふりそそいでいる。背中がふかふかして温かい。ふかふか?
「「あー!リベルテ(さん)」」
「どうした?二人とも」
俺が肩を見ると、猫がのっていた。さっきまで睨み合っていた二人が、俺のそばまでよってくる。
「リベルテずるい!」
「どっちにくるか、勝負してたんです」
「おいおい、急に近寄るな」
猫は二人におどろき、外に逃げた。オネットが先に猫を追いかけていく。ムートンが俺に振り返る。
「二人で遊びたいんだろ。いってこいよ」
「いいの?僕、リベルテに一人行動禁止って……」
「それって、夜の散歩のことだろ?あとこれ、忘れもんだぜ」
俺はムートンに、野苺の入った腰袋をわたす。ムートンは頷くと、今度は振り返らずに走っていった。
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