隣の席の女の子が下ネタのデータベースだった件

@Tiger_on_the_hand

プロローグ

暗い。

視界が真っ暗で何も見えないのは、自分が目を閉じているからなのだと祐介ゆうすけは理解した。

理解したが、思うように体が動かない。

凝り固まった処女膜をこじ開けるように、なんとか目蓋を開いてみた。


「...」

最初に目に入ったのは蛍光灯。

それだけで、自分は病院にいるのだと確信した。

次に、すぐ隣の窓の景色に目だけが移った。

オレンジ色がうっすらと乗算された、鮮やかな空が見える。

どうやら、今は夕方のようだ。



さっきまで、誰かに手を繋がれていたような...




スライドドアの開く音がする。


「祐介!」

女性の声だ。

誰なのか確認しようと思ったが、首を動かすことができない。

それでも、気配や足音で、女性が飛びつく勢いで迫ってくるのを感じた。

「目が...覚めたのね...!」

瞳には涙を、顔には柔らかい笑顔を浮かべた女性が視界に入った。

多分、母親だろう。

もしもそうならば、自分は母親に残酷なお告げをしなければならない。

「祐介...具合はどう?」

緩やかな笑顔のままで、自分の事を心配してくれる優しき母親に。









「すいません...どちら様でしょうか?」

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