第5話顔を忘れないために・・・

先のパーティで、2人の女性とお知り合いになれたが、連絡先を交換したのでとりあえずお話しなければと僕は考えた。

 パーティの翌週の平日の夜、最初は<小田さん>に電話を掛けた。今は、個人が端末を持っているので、気楽に連絡できる環境になっているが、当時は実家(一人暮らしの場合は別だが)にかけることになるため、いきなり親御さんが出たりするとちょっとやり難いななんてびびりながらプッシュボタンを押していく・・・


 電話をかけて3コール待つと、本人が出てくれた。向こうも電話をしてくれたことに喜んでくれたみたいで、会わないと顔を忘れてしまうから一度会いましょうというような話をして、次の週末に二人で会う約束をした。(自分としては、顔繋ぎのつもりだったのでデートとかそんなことは全然考えてなかった。)


 そして、その次の日に<友里>にも電話をかけた。彼女は、自分専用の電話を持っていたので、両親が出るとかを気にすることなく連絡をすることができた。

 彼女とも<小田さん>と同様に、顔を忘れないために会いましょうと言いながら、23日に千葉で会う約束をして話を終えた。


 <小田さん>とは上野で会う約束していたのだが、僕はいつも週末に一緒に飲む友達と同じような感覚でお店も特に考えず、会ってから適当に決めようとしていた。そして、彼女とは適当に居酒屋に入って、まあ他愛もないお話をしていたのだが、どうやら向こうは、何かおしゃれなお店に行くことを想定していたみたいで、居酒屋の後にどこか行くか聞いてみたが体よく断られた。

 これは、僕の配慮が足りなかったんだなぁと後から反省したが、まあやってしまったことは元には戻らない。彼女との縁はこれを最後に切れることとなった。


 23日に<友里>と約束した待ち合わせ場所は千葉駅だったが、自分は一度も行ったことがなかった。約束した時刻は午後2時であり、待ち合わせは駅の改札を出たところと決めていたが、2週間ぶりに会うため、顔を覚えているかどうか不安であった。

 駅に着いて改札を出ると柱のところに<友里>がいた。正直、彼女に対する僕の第一印象は、悪い言い方をするとちょっとケバくて香水の匂いがきつい年上の女性というイメージで、普通にお友達として繋がりを広げられたらいいなぁという程度であった。

 

 そして、会って挨拶もそこそこに、<友里>の選んだお店に行くことにした。

 千葉駅周辺の事情は全くわからないし、今みたいにネットでお店を調べるというような手段がなかったので、彼女に任せることにしたのだ。

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