転生した社畜は異世界でも無休で最強へ至る【2巻先行公開】

丁鹿イノ/ファンタジア文庫

プロローグ


──ズキッ

 また頭痛か……。

 ここ最近、頭痛のひんが増えている。病院に行った方がいいとは思っているが、今のプロジェクトが一区切りつくまで休みはとれそうもない。

 そんなことを一年前から思い続けている気がするが、気のせいだ。

 深夜二十三時、絶賛仕事中。今夜も帰れそうにない。

わたるさーん! リポビタンG買ってきました!」

 この子は部下のちゃん。僕が研修担当したこうはいで、僕の直属ではなくなったのにもかかわらずいまだに何かと手伝ってくれるやさしい子だ。

「ありがとう、助かるよ。もうおそい時間だし、本当に先に帰っていいよ」

「いいんです! 私がやりたくてやってるんですから! あの、ところで恒さん今日もてつですか? 私もたまには恒さんとおまり……じゃなかった、おつきあいしたいなー……なんて……」

 お泊まり会みたいな軽いノリで言ってるけどお仕事だからね?

「結衣ちゃんまで巻き込むわけにはいかないから、たのむから帰って休んで」

「むー! 恒さんのケチ!! わかりましたよー、帰りますよー! 恒さんも少しは休んでくださいね? 恒さんがたおれたら、うちの会社なんてすぐにとうさんしちゃいますから!」

 小さいほおふくらませて舌を出す結衣ちゃん。可愛かわいい顔をしてもダメなものはダメだ。

「はいはい、心配してくれてありがと」

「むぅぅ……じゃあ先に帰りますね……おつかさまですっ!」

「はい、おつかれー」

 結衣ちゃんを見送りしばらくパソコンと向き合っていると、とうとつに頭の奥が痛みだした。

 ──ズキンッ

 あー、少し頭痛いな……バフォリンでも飲んでおくか。どこにしまっておいたかな。

 ──ズキン

 ──ズキン

 ────プチンッ


◆……ッザーーー……


「ぐっ……あッ……」

 なんだ……今の……痛い……。

 痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い

 頭を何度も内側からものでえぐられるような痛み。あまりの痛みに呼吸がままならない。

 なんだ……これ……ッはつきようする……!! 痛すぎる!! 死ぬ、マジで死ぬ……!


◆……ッピガーーーガガガ……


 ああああああああああぁぁぁぁ!!! ……あ?

 うすまっていく痛み。あれか、痛すぎて脳が痛みをしやだんしたとか?

 痛みは薄まって少し冷静になってきた。身体は、指先一つ動かない。

 痛みは引いていくが、感じる。自分の命が失われていくことが。

 プチンとかいっていたもんな、脳の血管でも切れたのかな。最近リポビタンGとか、カロリーブロックとかしか食べていなかったしな。すいみんも全然取っていなかったし、よく考えるとそりゃ死ぬわな。


◆……ザー……ガガッピーーーー……


 ところで先ほどから変な音が聞こえるんだけど、なんだこれ?

 薄れつつある意識の中、こわれたテレビのような雑音が頭の中にせんめいひびわたる。

◆……ザザッ…


◆……『かいせき』により、システム言語の解析に成功しました。

◆今後、システム言語は主言語での再生となります。


 ………ファッ!?

 おどろきによりいつしゆんだけかくせいしそうになるも、やはり徐々に意識が薄れていく。

 あぁ……死ぬ直前のげんちようとか……だったのか……な…………。


あおぎり恒の心肺停止をかくにんしました。

◆リンネシステムによるたましいの転送を開始します。

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