蜘蛛を殺せない少女が蜘蛛を殺すまで

鴉杜さく

第1話 は!? 蜘蛛だらけとかふざけんな!

唐突だが、皆様は蜘蛛は好きか。

蜘蛛だ。あの虫の。


某有名な映画の題名に一部載っているアレだよ。

私の名前は、草葉羅くさばら なぎという。


そして、もう一文紹介を付け足すのならば


『大の蜘蛛嫌い』


と付くほど蜘蛛が嫌いだ。


蜘蛛のどこが嫌いかと問われても私は全てと答える外無いだろう。


だが、そんな私にも試練が現れた。


蜘蛛の大量発生。


ある日、日本に入ってきた蜘蛛の王様の様なものが蜘蛛を大量に増殖させたのだ。


害のある蜘蛛から、無い蜘蛛まで。

当然国は手を打った。


蜘蛛の駆逐。


これは誰でも参加できる為、やってほしいと言われているが私は断固としてやらない。


そうして、放置をしていたら家のなかに蜘蛛が溢れかえっています。


蜘蛛嫌いの私としても何とかしたく......でくるわけねぇだろ。舐めてんのか。


だから、親友の悠真くんを先程携帯にてお呼びいたしました。


ピンポーン


「はやく入ってきてください!! じゃないと殺しますよ!?」


キレ気味にそう言うとドアが開く音がした。


「こんちー。うわっ何これ!? ちょっ、キモい寄んな」


下の方から悠真くんのそんな声が聞こえます。

静かに階段を登ってくる音がし、そして私の扉の前で止まりました。


「で? 凪ちゃん言い訳をどうぞ」


「蜘蛛に関わらないことなら何でも一つ言うことを聞くから助けてー。いやむしろ、助けろ」


ここで『何でも』と言わないのが大切。

隙あらば直ぐにでも蜘蛛のいる場所に連れていこうとするからな。


「うーん。チッ仕方ないなあ。今回だけな?」


ヤバイな。惚れそう。

じゃなかった、


「はよ」


「はいはい」


部屋のドアを開けられ部屋に光が入る。

そして、黒い一つの塊になっていたのは霧散しはじめる。


しかし、それを逃がす程彼はお人好しではなかった。


腰から何かを抜き出した。

それは、



『虫スプレー』


それを振りかざし、時にはティッシュで潰し殺していった。


部屋には虫の死骸が数多。

その回収まで彼はやってくれた。


だが、問題はここからだ。

何を要求されるか。


彼はニコリと笑うと言った。


「今度の吹雪イベ周回手伝って!」


なんとも......楽勝な。


私は歴としたガチゲーマーである。

彼も誘ったところやってくれ、そして魅力に気づいてくれたのだ。


彼は常にランキング2位を保っているのだ。


こんなに私を助けてくれた上で。

これは断る理由なんてない。


「うん。いいよ! 協力イベな! 分かった!!」




そして、さらに国の蜘蛛は増えていることにまだ誰も知らないのだった。







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