史上最強の地面師に転生してみた!

いつか夕日を背中に

幸せを探したことがあった

まだ壊れていない携帯

泥だらけの野球帽

溶け残った雪

金網をよじのぼり

てを真っ赤に

西向いて


坂道に壊れた車いす

髪で目が隠れたり

マスクで鼻血を隠したり

だらしない

知らないことばかりで

誰も知らないことを

自分だけ特別席で

確かめたい

何にも出来ない何でもできる

僕は縞々

くるくる回って熊になり

ハエも寄り付かぬ白黒テレビ

デビューを決めて1ヶ月


みんなとは違う着合わせで

わざとその場に居合わせた

異様なのは太陽だ

日をてりつけ奇をてらう

僕はかつて見つめた特別を

ことり、と地面に置き忘れ

騙されたと嘆いている


僕を誑かした地面師に

ようやく会えた日曜日

白黒テレビを彼に渡し

私は私、私の中から何も出てこん

文句をつけた

それはそうよ、と彼女、もしくは彼、もしくは熊が言った

あなたは幸せを鳥にあげてしまったの


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