006 六槍師
街に出たディープが向かった先は、普通に歩くだけでは気づかない様な、とてもひっそりとしたところにあるビルの中だった。
「よう!ディープ」
「あらサンダース、久しぶりね」
入るとすぐに、サンダースと呼ばれるだらしなく髭を生やした男が声をかけてきた。
「こうやって六槍師(ろくそうし)が集まるのも久しぶりだねぇ」
「トゲゾウ…お前、また太ったんじゃないか? 」
ディープ、サンダース、トゲゾウ、、実はこの3人、六槍師のメンバーなのだ。
六槍師とは、5年前の悲劇を止めるために尽力した兵士たちの生き残りだ。世界の英雄として語られ勲章も与えられた者達。当然馬鹿みたいに強いのだが、ディープもその一員だったのだ。
「サンダースさんひどいなぁ弟子にめんどくさい事全部やらせてるくせに」
トゲゾウが突くと、ディープが気まずそうな顔をする。めんどくさいことは弟子に任せているのは彼女もだからだ。
「おー俺の弟子は良いぞ!なかなか見込みのある奴らばっかりだ」
「はいはい、あまり嫌われない様にね」
背後から1人、いや2人の影が近づく
「ディープさんもそろそろ弟子の1人でも見つけたらどうです? 」
「エド、余計なお世話よ」
「でも弟子が1人もいないのは今のところディープさんだけ… 」
「ナツノ……相変わらず存在消すのうまいね」
エドとナツノという六槍師のメンバーも入ってきた。
「揃ったな」
一番奥にいた男が話し始めると、空気が一変する
「みなに集まってもらったのは他でもない」
テツという老人の様な見た目をした男が話を続ける。
(六槍師は明確な順位付けが無いにしても、この人が喋りだすと空気が変わるんだよねぇ。)
トゲゾウの額には汗が流れている。
「最近街を壊滅的状況にしてる奴らがおるのは知っとるな」
「でもどんな奴らかはじいさんもわかんねえのか? 」
「奴らは、ロスクルド帝国じゃ」
「ロスクルド帝国……!!」
「ロスクルド帝国。もちろん覚えておるな。5年前争いに敗れそのまま国ごと消息不明になった奴らじゃ」
「まだ生きてやがったのか… 」
「でも、なんでそいつらだって分かったの? 」
サンダース、ディープが続け様にテツに話しかける。
「メロルの姿が確認された」
「メロル…だと……? 」
「あいつ、まだ生きてやがったのか!!」
「まだ確証は無いがの、あの狙いを正確に仕留める所、それからあの破壊力。ほぼ間違いないだろう」
「まだ世界中で暴れるほどの力を持ってたとはねぇ」
「新たな王が生まれたのかもしれません。」
「メロルがそうなんじゃねえの? 」
「奴らの王は簡単に姿を見せんじゃろう。おそらくメロルはNo.2と行ったところじゃ」
「とにかく俺らがいるところで暴れるなんて良い度胸してるぜまったく」
「我々に復讐でもしようとしとるのかのう」
「これからどうされます? 」
ナツノの質問に、テツが答える。
「アカツキ義勇団の強化じゃ」
「アカツキねぇ」
サンダースが反応する。
アカツキ義勇団。六槍師の弟子達で構成されている組織のことである。
「それぞれの弟子が所属するアカツキ義勇団、戦争が終わってからは活躍することがないと思っていたが、思ったより活躍する事になりそうじゃ。とにかく、各々の弟子の強化並びに人数の増加、なるべく早くにやらんと手遅れになるぞ」
「ディープさんは弟子いないけど… 」
エドが笑うと、
「ディープ、ヴィンテールの息子を弟子にしたのをなぜ言わん」
「なぜそれを…… 」
テツには全てバレていた様だ。
「ヴ、ヴィンテールの息子だと? 」
ヴィンテール。という言葉にトゲゾウ達が反応する。遠くでナツノが「ズブズブ… 」と呟く。
「たまたまよ、でも磨けばかなり光りそうって感じね」
「しっかり頼んだぞ」
しっかり頼んだぞ。というのはアカツキ義勇団に入れろ。という意味だろう。そのためには戦いに備えて訓練をする必要がある。
「必ず戦力にして見せるわ」
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