第4話 モカ魔法を使う
モカとメープルはノートの元へと向かい、アジトを突き進んでいく。
その道中は、
→隙アリ!と、ノートの部下が自信満々の不意打ちで襲ってくる。
→モカが攻撃の的になる。
→モカが攻撃を受ける。
→モカには効かない!
→スーパー●リオの無敵状態のような感覚で、敵は吹き飛ばされていく。
何度も何度もこの流れの繰り返しである。
そうして、モカとメープルはダメージを受けることなく、ノートのアジトを突き進む。そして、魔法使いなのに全く魔法を使うチャンスがないモカのイライラは募っていく。そんな中、メープルだけは、少しずつ敵の装備が豪華になっていることに気がついていた。
「確実にノートの元へと近づいている」
メープルは確信していた。
そんなことを思っていると、2人は少し開けた場所に出た。よく見るとその奥では男が佇んでいる。その男は、ローブを着て杖を持ち、明らかに魔法を使いそうな格好で佇んでいた。人を顔で判断してはいけないが、明らかに性格悪そうな顔をした男だった。
「よく来たな侵入者よ。ファヒ〜ヒ、ファヒ〜ヒ」
男が"私は強いぞ感"満々で言ったのだが・・・。
「ゴメンなさ〜い!!!口が動いているようなので、何か仰っているのだと思うのですが、この距離では全く聞こえませ〜ん」
と、モカたちに返されてしまった!
「じゃあ、近くまで来いや!!!」
男は逆ギレした。
「それと、声を出せ!!!プラカードにそんなことを書いてみせるな!!!」
そう、モカは先ほどの言葉をプラカードに書いて伝えたのだった。それに、さらに男はイラ立ちを覚えたのである。
テクテク・・・・・。
「なんだかギャンギャン行っているのが見えたから、近くまで来てやったぞ!」
モカが言った。
「うるさい!お前ら、ふざけやがって!このマッキー様を思いっきり舐めとるな。よく聞け!今までも、お前たちのようにノート様に喧嘩を売りに来た命知らずは何人もいた。しかし、みんなノート様に会うことはなく消えて言ったんだ。何故だかわかるか?それは、全員俺の魔法の餌食になったからだ!」
「・・・」
「驚いて声も出ないようだな」
「・・・、へっ?何か言った?ゴメン、夜ご飯何にしようかなって考えていたわ」
「てめぇ、このやろう!どこまでもふざけやがって!まぁ、そんな風にふざけていられるのも今の内だ、俺の魔法を見ればお前たちもスグに逃げ出すだろう」
「自信満々なところすまんな!俺はもう魔法が使いたくてウズウズしているんだ。でも、面白そうだからお前の魔法を見てやるよ!1発打ってこい!」
モカが挑発するように言った。
「何を言っとるんだ貴様!ウズウズしているとか言っときながらスデに魔法を使っておるじゃないか!お前の隣にいる男に掛けられているのは、気配を消すための魔法であろう」
「ほう。気づいていたのか!」
モカは、ほんのほんのほんのちょこっとだけ驚いた。
「当たり前じゃ!下っ端のザコは騙せても、わしは騙せんぞ!そうやって、その男が危険な目に合わぬようサポートしてきたんじゃろ?」
(そうだったのか)
メープルは心の中でつぶやいた。
(そういえば、不意打ちで攻撃してきた盗賊たちは、みんなモカ様の方へ向かっていた。まるで、僕になんて興味が無いかのように。でも本当はそうじゃなくて、モカ様が僕を守ってくれていたんだ。何も言わずに、そんな素振りも見せずに。貴重な魔力を僕なんかに使いながら)
メープルは、モカへ感謝すると同時にやっぱり自分は足を引っ張っているのだという罪悪感にかられた。
「仲の良いことじゃの!ファヒ〜ヒ、ファヒ〜ヒ。では、そんな仲を引き裂くような魔法でお前たちを恐怖のどん底に叩き落してやる。ハァァァァァ〜、テェェェェェェイ」
・・・・・・・・・。
「口だけか?何も起きてないぞ」
と、モカが言い終わるか否かの瞬間に、
「モカ様避けてください!」
という、メープルの声が聞こえた。モカは、ナイフを持って自分に向かってきたメープルに気がつき、とっさに避けた。
「どうしたメープル?」
「モカ様ごめんなさい!体が言うことを聞かないんです!」
メープルが悲痛な声で訴える。
「やっと気がついたか!ファヒ〜ヒ、ファヒ〜ヒ。さっきわしが使ったのは操り魔法じゃ!今、その男の体は、わしの思い通りに動く!可愛い可愛い仲間の手を使って、お前を八つ裂きにしてくれるわ!」
「モカ様!私のことは気にしないで、攻撃してください。私は防御力もなく、魔法に対する耐性もない!簡単に止めることができる一般人です!モカ様の力があれば、防御力がなくて、魔法の耐性もない一般人なんて、簡単に倒すことができるでしょ?」
メープルはモカが安心して自分を攻撃できるように言っているつもりなのだが、言えば言うほど、モカが攻撃しにくくなるような雰囲気を作り上げてしまっていた。そう、メープルは天然なのである!
「はぁ〜、魔法は使いたかったけれど、こんな形で使わなくてはいけなくなるとはなぁ〜。でも、一旦この状況を収めるのが先か」
そう言うとモカは、ローブの中をゴソゴソと当たり、ピストルを取り出した。そして次の瞬間。
パンッ
メープルの頭めがけて引き金を引いたのである。
ドサッ
メープルはその場に倒れこんだ。
し〜ん・・・・・・・。
「お、お、お前、容赦ないなぁ〜。わしは敵だけど、ちょっと引いてます!ピストルだけに、引いてます?」
「えっ?何が?」
「何がってお前、あそこに倒れている仲間だよ!」
と、マッキーが倒れたメープルの方を指差すと、笑顔のメープルがマッキーに向かって手を振っていた。「えっ?えっ?えっ?何で?打たれたよね?さっき、頭おもいっきり打たれてたよね?」
マッキーは驚きを隠せない。
「はぁ〜、さすがにこのくらいまでくると、お前には見えないか」
「何がだ?何をした?お前は一体何をしたんじゃ?」
マッキーは理解ができずイライラしている。
「説明しよう!さっき俺が打った弾丸には、3つの魔法が注入されていたのである。1つ目は回復魔法!打たれたそばから効果を発揮するため、後頭部から弾丸が突き抜けていくと同時に、傷は癒えているような状態になっている。そして、2つ目は操り魔法を解除する魔法!これにより、メープルは自分の意思で自分をコントロールできるようになり、自由を取り戻す。そして、3つ目の魔法は魔法耐性バリバリUP魔法!また、同じ魔法をお前にかけられると面倒くさいからな。とまぁこんな感じの魔法を掛けるために、弾を撃ったわけだ」
モカはヘラッと言った。
「信じられん。お前みたいな歩く紙袋に、そんな高度な魔法の使い方ができるなんて。わしは認めん!認めんぞぉぉぉぉぉ!こうなったら、わしの全魔力でお前を倒してやる!キャンプファイヤーの精霊よ、わしに力を与え給え」
そう唱えると、マッキーの頭上にみるみると赤い炎の塊のようなものが出来上がっていった。その大きさは直径3メートルはあろうかというほど!
「ははは!一般的な炎の魔法使いは、マッチやライターの精霊と契約を結ぶところから始まり、自分の実力に応じて、より強い精霊と契約を結ぶのじゃ。そして、わしは実力をつけ、ついに、キャンプファイヤーの精霊と契約を結ぶことに成功した!コンロやバーナーの精霊よりもさらに強力な精霊じゃ!そんな精霊と契約を結んだわしの炎魔法を受けてみるがよい!!!ファヒ〜ヒ、ファヒ〜ヒ」
そう言うと、マッキーは直径3メートルの火の玉をモカめがけてはなった!
「やれやれ、お前はわかっていないな。魔法というのは掛け算なんだよ!自分の実力×精霊の力で威力が決まるものなんだ!学校で習っただろ!ということは、自分に実力があれば、どんな小さな精霊の力でも活かすことができるってことだ」
そう言うと、モカも呪文を唱えだした。
「使いかけのホッカイロの精霊よ、我に力を与え給え」
「はいぃぃぃぃ?使いかけのホッカイロの精霊だと!ははははは、そんな熱量も大したことない精霊と契約してどんな魔法を使うというのか?全くもって、貴様を買い被り過ぎていたようじゃ。そのまま、わしの魔法に焼かれて・・・・・・えぇぇぇぇぇぇ!!!!!」
マッキーは驚いた!なぜなら、モカの頭上には東京ドーム1個分くらいの炎の塊が出来上がっていたからだ!
「えいっ!」
ゴミ箱に丸めた紙くずを投げるような感覚で、モカはマッキーへその炎の塊を投げた。
チュドーーーーーーーーーーーン!!!
プスプスプス。マッキーは真っ黒焦げになった。話す力ももう残っていない。
「モカ様、ごめんなさい。僕・・・」
「よし、魔法も使ってスッキリしたことだし、先に進むか!行くぞメープル!」
「・・・・・はいっ!」
モカは小さいことを気にしない!そうして、また2人はアジトの奥へと進みはじめた。なんだか、次はノートが出てきそうな気がする。
頑張れモカ!
負けるなモカ!
次回へ続く!
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