第33話、もう直ぐ風香の誕生日
つい最近まで春の陽気を感じられていたが、気づけば季節は変わり梅雨の時期を迎えていた。
窓の外を見ると、今日も生憎の空模様。
毎日、こんな天気だと気分が少し落ち込んでしまいそうになる。
しかし、俺はそんな事を考えている場合ではなかった。
今月は、とても大事なイベントがあるからである。
それは何かというと、実はもうすぐで風香の誕生日がやってくるのだ。
そのため俺は、何をプレゼントするかを悩んでいた、、、
『今年もいつもと同じって訳にはいかないよな』
『まぁ付き合ってからな、今年はいつもとは違う誕生日にしてあげた方がいいだろうな。』
『だよなー』
一人で考えても、全然案が浮かばなかったので、俺は放課後に健太を家に呼んで、一緒にアイデアを出し合っていた。
『少しお高めのレストランを予約するとか?』
『うーん、それでもいい気がするけど晴樹そんなにお金ないだろ。』
『まぁそうなんだけどさ』
かれこれ1時間以上悩んでいたが、毎回どんなアイデアを出しても、最終的に引っかかるのはやはりお金の問題だった。
『こうなったら、やるしかないんじゃないか?晴樹。』
『やるって何を?』
『そりゃ、お金をを稼ぐにはアルバイトするしかないだろう』
しかし俺は一つ気がかりな事があった。
『でもアルバイトするにしても、風香の誕生日って今月の15日だよ、もう6月に入っちゃってるしもう遅いんじゃ。。』
俺がその事を心配していると、健太が自信ありげな表情をしながら、自分の胸を叩いた。
『それは任せとけ!俺がいいバイト先紹介してやるよ!』
『え、危ないバイトじゃないよね?』
『大丈夫だよ!安心、安全で尚且つお給料も週払いだから、風香ちゃんの誕生日までにはお金貯まると思うぞ』
『じゃ、じゃあ紹介してもらってもいい?健太』
俺は少し不安だったが、健太にお願いすることにした。
『分かった、それじゃあ俺から連絡しとくから明日にでも一度店に行ってみてくれ。』
そして俺は健太から店の場所を教えてもらって、急遽翌日に、バイトの面接をすることになった。
『おー!君が晴樹くんか!健太から聞いてるよ』
『はい!今日は宜しくお願いします!』
『そんなに固くならないでくれ、まぁ取り敢えず座ってくれ』
『は、はい!分かりました』
健太が紹介してくれたバイト先は、隣町にある喫茶店だった。
どうやら、その喫茶店は健太のお爺ちゃんが経営しているお店らしく、健太が今回の事情を話した所、快く引き受けてくれたらしい。
『健太から話を聞いたんじゃが、晴樹くんはその、彼女にプレゼントを買いたくてお金が必要という事で大丈夫だったかのぉ?』
『はい、恥ずかしながらそうなんです。』
『どうしてもお金が必要で、、、』
すると、健太のお爺ちゃんは笑いながらこう言ってきた。
『ははは!何を恥ずかしがっておる、もっと自信を持ちなさい』
『大切な人のためにプレゼントを買うためだなんて、素敵なことじゃないか!』
面と向かってそんな事を言われた俺は、少し気恥ずかしくなり、鼻の頭を掻きながらお礼を言った。
『あ、ありがとうごさいます。』
『それで、バイトの合否についてなのじゃが』
そして遂に本題に入った。
幾ら、健太の紹介とはいえ、短期間だけバイトをさせてもらうだけなので働けなくてもおかしくはない。
そんな事を考えていた俺だったが、その考えはどうやら考えすぎだったようで、、
『もちろん採用じゃ!健太の大事な友達の頼みだからのぉ、是非とも宜しく頼むよ晴樹くん!』
『あ、ありがとうごさいます!!』
『それでは早速なのじゃが、明日からでも大丈夫かのぉ?』
『はい!大丈夫です!宜しくお願いします!!』
俺は風香の誕生日までの短い期間、健太のお爺ちゃんの喫茶店で、風香のプレゼントをサプライズで買うために、アルバイトを始めたのであった。
………………………
読んで頂きありがとうございました!
感想、評価お待ちしております!!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます