2

「LHS! LHS!」


 僕らチームの名前を呼ぶ声がする。それも大勢の。目を開けるとそこは舞台の上で、観客席にはたくさんのポンポンフラッグアバターがいる。


「さじ太、頑張ろうね!」


 僕の両脇にはヒメと玲音のアバター分身が立っていた。セーラー服のヒメが僕にウインクをして、舞台後方に下がっていく。


「いくら決勝だからって、あがり症で動けないとかは、やめろよ?」


 黒いレザージャケットを羽織った玲音はこれからの戦いが楽しみで仕方ないという風に笑みを浮かべ、スナイパースコープ長射程の銃を軽々と持ち上げるとヒメの後を追う。


「決勝!?」


 ジップタイプのハイネックパーカーにくるぶしが隠れる程度の高さのスニーカー、デフォルメ化された大きな手で持っていたのは愛用の武器S-39短射程の銃。驚きで跳び上がる僕の体も例にもれず三等身のポンポンフラッグアバターになっていた。


「両者、スタンバイをお願いします!」


 問いに答えてくれる者はいない。進行役のアバターが僕の移動を促していた。僕は二人の後を追って舞台後方の丸椅子に座り、配布されたワイヤレスイヤホンを装着する。


「それでは行きますよ〜! POMPOM!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る