ゼロ・スカイ

みやおん

Prologue 1. 流れ星

「今週は珍しく全然観測できないな」

巨大なモニターに映し出された情報を見ながら20代の眼鏡をかけた男が言った。

彼がいる場所には他にも50人程度、同じ制服に身を包んだ人達がせわしなく動いている。


「そうね。観測漏れって事は無いでしょうけど。」


隣でキーボードを叩き、何やら複雑な計算を行なっている女が応えた。


「でもまぁ、に越したことはないんじゃないかしら。」


「だよなぁ。毎回テンパる感覚慣れないわホント。給料良いのが救いだな」


「慣れる事を諦めれば幾分気が楽になるわよ?」


女はいたずらっぽく笑った。


「そういうもんかね。そうだ!今日終わったら一緒に飯でもい・・・」


『緊急警戒態勢発令!緊急警戒態勢発令!』


男の話を遮るように大きな音が施設内に鳴り響く。


「柏木!観測データを回してくれ!!ああクッソ!結局今週もかよ!!って柏木?」


男は先程までたわいもない会話をしていた柏木と呼ばれる女の表情を見た。

目を見開き、モニターに映し出された映像を見て唖然としていた。


「お、おい!らしくないぞ?お前がそんなに慌てるなんて!どうした?」


「芳賀くん・・・。よ。」


柏木から出てきた言葉は芳賀を青ざめさせた。


「・・・嘘だろ。飛来予測地点は!?」


「京都よ!!!大至急、支部に連絡を!!警戒態勢A!!!本部からも応援を送らなきゃ!座標班!!詳細な位置を割り出して!!!」


柏木が叫ぶと慌てふためいた様子でほ他の職員達が動き始める。


「・・・確認できました!!北山です!!!」


「不幸中の幸いかもしれねえ!民間人はそんなにいない!地元警察と連携を取って周囲に人を近づけさせるな!あと内閣府にも連絡を!情報統制班を派遣しろ!」


芳賀の指示で3〜4人の職員が頷いたあと駆け足で部屋を出て行った。


「芳賀くん、その座標なら彼らが近いけど、との戦闘経験はまだないわ。ならまだしも・・・。」


「支部から返事が来た!どうやら、向かわせるらしい。」


「・・・そう。・・・私達は私達に出来る事をしましょう。」


(死ぬなよ。君たちは貴重な存在なんだ。)


芳賀は祈るように目を瞑った。








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