彼らの物語はこうして始まる2

「今日の俺は完璧だ!!朝風呂に入ったし、好きなラブコメマンガも全巻読んできた! 


彼がいるのは、2年1組。早見さんとの待ち合わせの教室だ。

ちなみに、今の時間は七時前。いつもは、遅刻すれすれに登校している。


「まだかなー。まだかなーー」


なんで、早見さん来ねぇんだよ!もう7時来るぞ……


「がららら」

古びた扉の開く音がした。背筋が凍るのが分かった。


「お、おはよう」

「おはようございます!早見さん!」


あれ、なんで僕こんな話し方してんだ…

もっと、くだけて、、


「あの、神谷君。昨日の見たよ、ね?」

「う、うん」

「あのことは、みんなには内緒にしてもらえないかな?」

「あ。はい。。いいですよ」

「ありがとう!!」


淡々とした会話だなぁ。


さて、問題はここからだぁ。

僕にある選択肢は二つだ。

1 このまま、ふたりとも席につき、何も話さない


2 彼女に僕の趣味をうちあける。


1を選ぶのが妥当だろう。少なくとも、彼女に悪いイメージをもたれることはない。むしろ、口が堅い男ということで好感度が多少なりとも上がるかもしれない。

しかし、その程度のことだ。僕と彼女が仲良くなることはないだろう。

かといって、2もリスクが高すぎる。もし、この趣味を否定でもされたら、、、

立ち直れる、自信がない。。。。。。



そこで、昨日見たアニメを思い出した。


そうだ、あの学園ラブコメもこんな一歩をヒロインが踏み込んだからこそ生まれたんだ。よし!!!!!

   -本当に僕は単純だー……


「あの、早見さん!」

「う、うん?まだなにか??」

「実は、僕もそういうライトノベル好きなんだ」

「ほんと???」

「うん!!だからそのいろいろ趣味が合いそうで、早見さんと話したいなと」

「そうなんだ!うん。いいよーーーーーーー!!!!!」

「ほんと?!」

「うん。でもうれしいよ。語り合える人がいなくてねぇ。。

 ほら、私、謎のお嬢様イメージあるじゃない?堅苦しいのよね」

「大変そうだね~」

「あ、でも学校では禁止ね!どこで誰が聞いているかわからないし」

「わかったよ」



こうして、僕と早見さんの文通と呼んでいいのかわからないが

秘密の関係が始まった。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る