オタク同氏は魅かれあう そんな学園ハーレムがあってたまるか
@kettsu
エピローグ
ごめんなさい…
それが僕の人生初めての告白への返事だった。
話は少し遡る。
僕の名前は神谷準。この春で高校2年生。
「もえ、もえ、きゅん♡」
お気に入りの、朝アニメを見て、制服に手を通す。別段、新クラスに心が躍るわけでもない。ただ、なんとなく春休みが終わってしまったことをまだ受け止められていないだけだ。
「いってきまーーす」
この時間ならば、遅刻すれすれにつくはずだ。新クラスのあの居心地の悪さなど味わいたくない。
「はぁぁ~」
あくびかため息かわからないものが口からもれた。
「じゅんーー」
背後から僕を呼ぶ声が聞こえる。無論、振り返らなくてもだれかはわかる。
「おはよう、じゅん。止まってくれてもいいじゃん」
「めんどくさい…」
「はい、はい、どうせじゅんの好きな二次元ヒロインには私なんか適いませんよ」
「当たり前だ、比べることすらおこがましい」
「むぅぅぅ…」
この女が幼馴染の、堀本明日花だ。俺の数少ない友達の一人。
「新学年だってのに、重いねぇ…」
「むしろ、なんでお前はそんなに楽しそうなんだ…」
「うーん、内緒」
「は?」
明日花はたまに、よくわからないことがある。
「それより、おくれるよーー」
ほんとうに何がそんなに楽しみなのか…。
「じゅんーーーーー。置いていくよ」
僕は、彼女のそんな様子に、
「まぁ、今年はうまくやっていこう…」
と、自分に唱えるようにつぶやいた。
実際、この新学年が彼の、彼らにとってとても大きなものになるのだが、そんなことは彼らの知るよしのないことだ…
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