第641話 欲望のままに
※今話はかなりRな感じですので苦手な方はご注意ください。次話初めにあらすじ乗せます。
♩♪♫♬
「……んん……」
鳴り響くアラームに、俺は浅い眠りから目を覚ます。
このアラームは知っている。いつもの朝のアラームだ。設定時刻は6:30。つまり今は、その時間。
そしてこれが鳴るということは、起きなければならないということだ。
だが眠い、かなり眠い。
今眠りから覚めたはずなのに、正直全然寝た気がしない。
身体も疲れてる。この疲労感はなかなかだ。
だが、何よりもとにかく眠い。
眠りについたのは何時だったのか、というかいつ寝ようとしたのか、その辺りは全然覚えてない。
分かるのはとにかく眠いこと。
そればかりを考える頭の中、手を伸ばしてアラームを止め、ぼんやりとしたまま顔を動かすと、カーテンの隙間から枕元に細く届く黎明のような朝陽が顔に当たった。
眩しく、目に痛い。そんな思いに俺はまた目を閉じかけながら、光と反対側に目を向くと——
「あ……」
数刻前にあったはずの闇が消え、光が広がる世界の中、俺の隣には先ほどのアラームが鳴っても気づく様子のない、純粋無垢そうな可愛らしい寝顔があった。
外から差し込む光は、今日が快晴ということに対する知らせに違いない。
そしてきっと外ではチュンチュンと鳥が鳴いているかもしれない、そんな清々しい朝のはずなのに、俺は隣で眠る存在を前に、一旦現実から目を逸らす。
だって——
「そう、か」
それはどう見ても朝起きて最初に見る相手として見慣れた姿ではなかったから。
これは夢だっけ?
そんな考えをしながら、ゆっくりゆっくり身を起こす。
そんな俺の動きに気づいたのか——
「ん……」
隣にいる奴がそれはそれは可愛い声というか、可愛い音を生み出しながらもぞもぞと動き、丸まるように俺の太ももにその顔をくっつけてくる。
でも、どうやら目を覚ましてはいないらしい。
となると、これは無意識の反応。
……可愛い。
じゃなくて、ええと、これはつまり、やっぱりこいつ俺のこと——
そう思い出したところで、俺の脳が記憶と冷静さを取り戻す。
そして思い出す。ほんの少し前までこいつと何をしていたのかを。
いや、思い出さねばならないほど忘れていたわけではない。
というか忘れてなんか全くない。
「今日だけ愛して」。リアルでそんなことを言われる日が来るなんて夢にも思っていなかったが、その言葉に誘われるまま、俗っぽい言い方での「愛し合い」を、俺たちはさっきまでしていたのだから。
「……やっちまった」
そんなことを思いながら改めてくっついてくる奴を見てみれば、その首筋や肩のきめ細かい肌が露わになっている。そのきめ細かさは覚えてる。眠りにつく前、ほぼずっとこの肌に触れていたんだから。
そして大きくはないが可愛らしく膨らんだ胸元の丘陵も丸見えで、腹部より下は布団の中だが、この雰囲気では、というか、眠る前のことを思えば明らかに何も身につけてはいないだろう。
同時に俺も、肌に触れる布団の感覚から、お前も「生まれたままの姿だぞ」と伝えられる。
これは、つまり、そう。
踏み越えたラインは、常識的に考えればアウトのライン。
というか人としてアウトのライン。
「あー……」
そんな不道徳に俺は顔に手を当てながら、後悔にも似た感情が湧き上がるのを感じるのだが——
「ああもう……にしてもくそ可愛いなこいつ」
起こした身体から見下ろした先にある、無意識に俺にくっついて来る愛らしい顔立ちに、俺の後悔が弱くなる。
その場の勢いで起きたことってわけじゃないのは、俺自身分かっているのだから。
でも、こんなに甘えてくる奴だなんて思わなかった。このギャップは正直ずるい。
甘えん坊って点は俺の隣が定位置の美人と似てるんだけど、こいつの甘え方はついつい許してあげたくなる気持ちを感じさせてきて、俺はこの夜感じた愛おしさから、気づけば無意識に彼女の頭を撫でていた。
「……んんー……」
そして俺に触れられたことに気づいたのか、ゆっくりゆっくりと、眠り姫たるレッピーが目を開けていき——
「んー……」
俺の顔を見たあと、まるで赤ん坊のように嬉しそうに笑ったと思ったら——
「……んっ!?」
ゆっくり頭やら手やら動かして周囲を確認し出した後、急に何かに驚いた様子を見せ、自分の身体と俺の下半身を隠すように布団をかけ直し、潜ってしまった。
その様子に俺は「あれ?」と少し驚いたのだが……もしや、あれか? 思い出したこと内容に自分がしたことが恥ずかしくなった、のか?
いや、自分がしたことってか、俺たちがしたこと、なんだけど。
……いや、でもそしたら俺の顔を見てすぐ恥ずかしがる、はずだよな?
そんかレッピーの動きに俺は「どうしたんだ?」と思っていると——
「んっ!?!?!?」
不意に迸った刺激に、俺は思わず変な声をもらす。
「ちょ、えっ!?」
何だ? 何が起きてるんだ?
そんな混乱を覚える中、それはピンポイントに今俺の目には見えない、布団の中に隠れている一部に響く感触で、えも言われぬ感覚を与えてきた。その感覚に思わず腰が浮きそうになるのだが、逃れられないようにか俺の腰にレッピーの腕を回される。そしてそのままあの部位を温かく湿っぽい何かが這い回り、その快感に俺の脳が支配される。
やめさせなくては、そう頭の隅では思うのに、本能がそれを制止させることを許さない。
そして俺は甘んじてその行為を受け続け——
「あっやばっ——」
「——んんっっ!?」
揺れる布団を視界に捉える中、ピンポイントな刺激と時折何かを吸うような音や「ん」という小さな声が数分間続いた後、自分の我慢が限界を超える。その結果俺が悲鳴にも似た声を出した直後、布団の中からもやや大きめの驚く声が聞こえてきた。
出してしまった、そんな考えと同時に俺の胸中に、あの謎の脱力感と虚無感が襲いかかる。
いやまさか、まだ起きて10分も経っていないのに。そりゃたしかにアレは朝故にたっていたかもしれないけど、これは俺の人生における寝起きから発射までの最速タイムじゃないか?
と、心身ともにぐたーっとしていく中、俺が死ぬほどくだらないことを頭の中に浮かべていると——
「はははははひふひ」
「っ!?」
一瞬頭から飛んでいた、今の刺激を与えてきた奴がひょこっと布団の中から顔を出してきて、謎の言葉を発しながらべーっと舌を見せるように口を開いて……その口内に溜まった白い何かを見せてくる。
だがそんな姿を見せられては——
「んっ……あ、流石に4発目ともなると1発目より薄いんだな」
虚無感も、世界平和を考える心も、そんなものは全てどうでもいい。
こくんと喉を動かした後、何かの味の感想と共にべーっと綺麗になった口内を見せるという、さらなる挑発をしてきたから——
「え、ちょ——うにゃ!?」
再び猛り狂い出した己に身を任せ、俺は布団から顔だけ出す彼女を引っ張り出してひっくり返し、仰向けの状態に変えてやる。
そして——
「えっ——ちょ——んんっっっ」
熱く流れる血流が生み出す剣を、彼女の下腹部へと突き立てる。
その瞬間に感じる先ほどを上回るその快感。
でも、普通ならこれは簡単には出来やしない。
でも俺は知っている。
一度目は彼女の口内を汚したが、二度目はまるで騎乗された馬のように、三度目はまるで獣のように、俺は彼女に向かって己の欲望を吐き出した。
それも何かで包み隠すことなく、直に、だ。
だから欲望が吐き出された後の秘部がどうなっているか、この三度目の経験から、己の欲望がスムーズに動くことを俺は知っていたのである。
それ故に俺は今度は正しい体勢で彼女に覆いかぶさるように、己の己を前後する。
「んっ——あっ——んんっ——」
そして俺が動く度に、俺の下になった彼女から、それはもう扇情的な声が響く。
その声が、俺をさらに興奮させる。
開脚させる両手に力が入る。
泣きそうなような、嬉しそうなような、どちらでもあってどちらでもないような、何かを我慢する顔が目の前にある。
普段の彼女からは想像も出来ない姿と声。
それが俺を昂らせる。
「んっ——あっ——ねぇチュー、んっ——チューしてっっ」
そしてその泣きそうな顔から望まれた甘美なおねだりに、俺の興奮は最高潮へと達していき——
「んんんっっ」
「ああっ!」
互いの舌を絡め合う激しい口内合戦を繰り広げながら腰の動きを続けた後、ビクンっと彼女の身体が大きくはね、俺も何かが自分の中から飛び出していくのを感じるのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます