第12話時は進んで

時は少し進んで、私は中等部に入学した。

特にメンバーは変わらず。外部性がちらほら来て、そして…正式的に、ラリアさんが魔法会のメンバーとして発表された。

いつのまに入学してきたんですか?というより、前回とは大きなズレだ…どうすれば…


「ルチア嬢」

「え、わっ、アデル様!お久しぶりですね」


声をかけられ振り向けば、そこには少し背が伸びたアデル様がいた。

綺麗な茶髪は伸ばしていて、後ろにまとめているようだ。


「久しぶりですね」

「えぇ、お久しぶりです」


初等部卒業の頃は、アデル様はいろいろ忙しかったようですから…会うのは本当に久しぶりですね。


「…そういえば、ルチア嬢はご存知ですか?」

「何をですか?」

「魔法会に新しく入った、ラリア・ロリア男爵令嬢のことです」

「…知ってますよ」


死ぬきっかけになるかもしれない人ですからね…忘れるのは私の命的にまずいですよ…。

というのは私の心に留めておく。

私の返答を聞くと、アデル様は何やら考えるように目を細める。


「ルチア嬢は、ロリア男爵令嬢と会話したことはありますか?」

「いえ?ありませんよ。第一に、フランチェスカ王子たちが離れないじゃないですか。何を言ってるんです?」


そう。完全包囲と言わんばかりに、彼女の周りには常に王子や魔法会のメンバーがいるのだ。

ロリア男爵令嬢に話しかけようものなら、物凄い睨みを利かせてくる。恐ろしや…。


「やっぱりそうですよね。あんなの、俺でも近づけません」


苦笑をしながらそう言うアデル様。

では、何のために聞いたのでしょうか…?


「何かあったのですか?」

「いえ、大丈夫です。ラメアの側を離れないでくださいね」

「は、はい」


何が何だかさっぱりですが…とりあえず、アデル様の頭なでなでも気持ちいいですね…!

すごく優しく撫でてくれます!


「それでは、俺は失礼しますね」

「あ、いえ。ありがとうございました。…中等部でも頑張ってくださいね」

「はいっ」


手を振ると、振り返してくれる。

いつの日かの殿下たちを思い出させて、少し悲しくなる。

ロリア男爵令嬢が、中等部の入学と共にやってきた。

既に殿下たちはロリア男爵令嬢を可愛がっている。

…このまま行けば、私…生き残れるのでは?


「…油断は禁物です…。慎重に、いけるかはわかりませんが、気をつけましょう」


とりあえず、ラメアにお昼を一緒に食べられるか聞きに行きましょう。



______

____

__


ー魔法会室ー


「…」

「…ラリア?」

「!、あ、はい。殿下、どうしましたか?」


魔法会室にて、魔法会のメンバーでお昼を過ごしていたのだが、ラリアのあまりの静けさにフランが声をかける。


「それはこっちの言葉だ。何かあったのか?」


他のメンバーも心配そうにラリアを見ている。

ラメアはそれを悲しそうに見れば、ため息を一つ。


「あの、実は…実は……」




「私、いじめられてる…のかも、しれません」




その言葉は、フランチェスカたちの怒りを呼んだ。

ラリアはいじめられた時の光景を思い出したのか、小さく震えている。

それをベリンダが優しく抱きしめ、ソフィアが頭を、フィオーレが背中を、それぞれゆっくりと撫でる。

エドワードはルーカスとアルカをなだめ、ローレンは珍しく怒っているフィアルを抑えていた。


フランチェスカは怒っていた。

だが、その感情を直接表に出す程子供ではない。

しかし、今すぐにでも相手をこの王国から追い出したい程度には怒っていた。


フランは、優しくラリアに話しかける。

優しいラリアのことだ。キツく聞けば相手のことを案じてしまうだろう。

だから、優しく。


「ねぇ、ラリア。何をされたの?」

「そ、そんな大したことでは…」

「俺たちにも言えないこと?」

「うっ………わかり、ました…」


優しく、優しく、手を握り、頭を撫でれば諦めたように話し始める。

その内容にさらに怒りの感情が強くなるが、最後の主犯者の名前に、固まる。




「私を、気に食わないと言っていたのは…」



「ルチア・フェルメス子爵令嬢、です…」




どこかで聞いたことのある、名前だった。





まだ、きづかない



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あの人の腕の中で。 ひかげ @0208hina

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