662.宮殿へ

 砂嵐はそのあともどんどん小さくなり、やがて微風が吹くだけになった。


 ステラが俺の着ぐるみのお腹を揉みながら言う。


「きれいさっぱり消えましたね……!」

「ああ、そうだな……っ!」


 一時はどうなるかと思ったが、これで解決だな。

 魔力の流れも正常だ。


「遺跡は汚れちゃったね、砂が舞いすぎたせいだけど」


 ナナがふにっと崩落した塔の破片に羽を滑らせる。

 つつっーと。


「どうせ再調査されるだろう。そのときに綺麗になる」


 ヴィクター兄さんは魔力の補給でポーションをがぶ飲みしていた。

 すでに3本目の瓶をくちばしに突っ込んでいる。


 それから魔力の回復したヴィクター兄さんの風魔法とナナのばびゅーんで俺たちは宮殿へと戻った。


「ぴよよ。みんな、お掃除してるぴよ」

「砂まみれになっちゃったんだぞ」

「ウゴ、皆で後片付けしている最中だね!」


 戻ってみると宮殿の人たちは総出で掃除をしていた。砂を払い、壊れた部分を修復している。


「被害はあるようだが……日常に戻りつつあるようだな」

「ふむ、ミッションコンプリートだ」


 ヴィクター兄さんの言葉で俺は息を軽く吐いた。

 良かった、とりあえず一安心というわけだな。


 それから宮殿に戻ると学者先生たちからえらい歓迎された。まさか数時間で解決できるとは思ってなかったみたいだ。


 色々な報告と今後のこと――塔の管理についても話し合った。すぐに再調査と人の常駐をするみたいだな。


「ぴよよー!」(もどったよー!)

「「ぴよー!」」(おかえりー!)


 砂コカトリスも仲間と抱き合って再会を喜んでいる。むぎゅぎゅーっとね。


 このあたりは村にいるコカトリスとおんなじだ。


「ぴよ。かんどーてきぴよね」

「わっふ。我らの役割も果たしたんだぞ」

「……まだ学会は始まってもいないが」

「忘れてたんだぞ」

「ぴよ! そーだったぴよね!」

「無理もありませんが……。まぁ、それは事前に準備してますからね」


 まぁ、やっと学会が始まるわけだ。

 本当に長い1日だったな……。

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