615.崩落の現場へ

 俺たちが驚いていると、広間に兵士が入ってきた。


「カカ様、お早く! 崩れた部分からどんどん精霊たちが――」


 兵士が言い終わる前に稲妻が光った。


 ドンガラガッシャーン!!!


「うお、またか?」

「……これは落ちましたね」


 ステラが耳をぴくぴくさせる。


「しかもおそらく、また直撃した箇所が崩落したかと……!」

「ウゴ、大変!」


 ヴィクター兄さんが羽をぴこぴこさせながら、俺を見た。俺たちに助けを求めるかどうか、迷っているみたいだな。


「むぅ……まさかこんな事態になるとは……」

「コカ博士、俺たちも精霊討伐に行こうか?」

「……頼んでもいいのか?」

「俺とステラ、ウッドとナナなら足手まといにはならないはずだ」


 ステラとウッドは高い戦闘力がある。俺とナナは着ぐるみでガードできるはずだ。


「レイアはディアとマルシス、それに砂コカトリスや非戦闘員を率いて避難してほしい」

「そうだね、僕もそれでいいと思う」

「ふむ、やはりそれがベストか……」


 ヴィクター兄さんが俺たちに向き直る。


「では俺たちで宮殿上部の崩落現場に向かおう」

「はい……! 精霊ならお任せください!」

「ウゴ、頑張る!」


 ステラもウッドもやる気だな。

 あとはレイアだが、ぴよ帽子の位置をきゅっと直して凛とした顔つきになっている。


「お任せください!」

「ぴよ! いのちをだいじに! ぴよ!」

「わふ、無理しちゃダメなんだぞ」

「ええ、もちろんです……!」


 ステラが腰にバットをさした。めらめらと瞳が燃えている。


「砂ぴよちゃんも退避をよろしくお願いします……!」

「はい、もちろんです……!」


 レイアが敬礼する。

 砂コカトリスは首を傾げながらぴよぴよしているな。


「ぴよ?」(なにが起きたの?)

「ぴよよ、ぴよ」(わからん、なんか移動っぽい)

「ぴよ!」(トマトは持ってく!)


 ……そのあたりの説明はあとでディアからしてもらえればいいか。


 ということで、広間から出て宮殿の上層階に向かう。とりあえず現場に向かわないとな。


「こっちだ!」


 カカとヴィクター兄さんの先導で道を進む。廊下には右往左往する人ばかりだな。


「こっちは大変な混乱だな……」


 階段を昇っている途中、またもや雷が光った。


 ドンガラガッシャーン!!!


「……すぐ近くだ!」

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