601.砂ぴよ来たりて

「これが……砂ぴよぴよね!」


 ディアがぴょんと飛び跳ねて、そして首を傾げる。


「でもどうして丸まってるぴよ?」

「おだんご状態で移動もしているんだぞ」


 待ってましたとばかりに、レイアが指を立てる。


「さっき砂嵐がありましたよね? 砂ぴよちゃんは丸まることで砂嵐をやり過ごすのです……!」

「なるぴよ!」

「理由があったんだぞ!」

「ウゴ、でも重なって移動しているのは……?」


 今も砂ぴよは重なっただんご状態で、ゆっくり宮殿に近づいている。


「もちろん! それにも理由があると見られています!」


 ずいっとレイアが解説する。


「ぴよ! 教えてぴよよ!」

「ウゴ、興味ある!」

「それは――お昼寝のためです!」


 …………。


 ずりずりと塊は砂の上を移動している。


「動いてるんだぞ」

「いえ、動いているのは一番下にいるぴよちゃんだけです。上のぴよちゃんは( ˘ω˘)スヤァしてます」


 そこでディアが耳をすます。

 砂ぴよたちから、かすかに音が聞こえる。


 すやー……ぴよぅ。

 ぴよ、ぐぅ……すぅ……。


「ぴよ……! 寝てるぴよね」

「……一番下以外、寝てるんだぞ?」

「ウゴ、そういうことなの?」

「そうです。どうやらエネルギーの消費を抑えるため、交代でああやっているみたいなんです」

「なるぴよ……」


 そこでディアは羽をしゅっと上げた。


「じゃあ、ちょっと聞いてみるぴよ」


 そこでディアたちは邪魔にならないよう、こんもり塊の進路の横に移動した。


 ウッドの手に乗りながら、こんもり塊と並走する。


 真横にくると、上のコカトリスたちが( ˘ω˘)スヤァしているのがわかる。


 はっきり寝息が聞こえるのだ。


「……本当に寝てるぴよね」

「ウゴ、俺にも聞こえる」

「わふふ。これもコカトリスの生態なんだぞ」

「ええ、そうですね。おやすみの邪魔になるから、触るのは控えますが……」


 そう言いながら、レイアが手をわきわきさせている。


「ところできみたちは、どこにいくぴよ? ここから先はサボテンぴよ?」


 一番下の砂コカトリスにディアが問いかける。


 少しして、こんもりの一番下から答えがあった。


「ぴよよー!」(うちら、すなあらしから逃げてきたんだよー!)

「ぴよよ?」


 そこでディアが何度かぴよぴよとやり取りする。


「わう。どうしたんだぞ?」

「……大変ぴよ! また砂嵐がくるみたいぴよ!」

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