600.ぴよの優先度

 その頃、ディアたちは……。


 部屋で謎の塊に好奇心を抑えられなくなってきた。


「ぴよ。もこもっこは前進中ぴよねー」

「ゆっくり近づいてくるんだぞ」


 そわそわ。

 そわそわそわ。


 ディアはそわそわしていた。


 塊が近づくにつれて、その質感がわかってくる。

 確実にコカトリスたちだ。


「とてもふわもっこしてるぴよよ……」

「やっぱりコカトリスなんだぞ」

「……見に行きたいぴよね」


 そこでディアはじっとウッドを見る。


「ウゴ……街から離れなければ、大丈夫? 誰か付き添いしてくれるかな?」

「あっ、だぞ」


 マルコシアスがくむっと鼻を鳴らす。


「レイアが部屋から出たんだぞ」

「ぴよっ!?」


 ディアが即座に計算する。


「レイアぴよに付いてきてもらえば、完璧ぴよよ!」


 ◇


「ふふふんー」


 レイアはご機嫌だった。

 窓からディアたちと同じ塊を見たのだ。


「あの塊は間違いなく、私が愛してやまない――」


 レイアが部屋からすっと出てくる。


「ちょっと待つぴよっ!」


 そこへディアとマルコシアス、ウッドが現れた。

 もとい、隣の部屋から出てきた。


「……どうかいたしましたか?」

「砂漠にいくぴよか!?」

「え、ええ……そのつもりですが」

「ビンゴなんだぞ!」

「ウゴウゴ、ちょうどいいね!」


 マルコシアスとウッドが頷きあう。


「ぴよ! あたしたちも砂漠に行きたいぴよよ!」

「おーっ!! それはいいですねぇ!」


 レイアはぱぁっと満面の笑顔になる。


「だぞ。なので一緒に来てほしいんだぞ」

「ウゴ! 付き添いお願いします!」

「もちろん! どーんとお任せください!」


 そうしてレイアたちは宮殿から砂漠へと出ることにする。


 サボテン畑に戻る頃には、すっかり砂嵐はやんでいた。


「ぴよ! あっちぴよね!」

「くむくむ、そうなんだぞ」


 ディアとマルコシアスは方向感覚抜群である。

 サボテン畑をさっそうと移動する。


 やがて砂漠に出ると、目の前にはこんもりとした塊があった。


 すぐ近くにいくとよくわかる。


「仲間ぴよねー!」


 丸まったコカトリスが重なった草だんごのようになっているのだ。


 レイアもうんうんと頷いている。


「これがレアな砂ぴよちゃんです……!」

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