574.ぴよはマッサージをされたい

「ぴよよよよよー」


 マッサージぴよは羽をぴっと上げるものの、震えまくっている。


 どうやらこの状態の『ぴよ』だと伝わらないらしい。ということが、レイアにはわかってなさそうだった。


 テテトカは草だんごを頬張りながら、


「もぐもぐ。スイッチを切らないと会話ができないみたいですー」

「そ、そうなんですね!」


 慌ててレイアがスイッチを切る。

 マッサージ機が止まり、マッサージぴよが会話を始めた。


「ぴよ!」(マッサージ受けてた!)

「ぴよ」(なるる。どう?)

「ぴよっぴ!」(身体の芯が震える、新感覚!)


 マッサージぴよは目を輝かせていた。

 コカトリスはタフで、押し合いへし合いをしてもあまり感じない。


 しかしさすがに人間にはやや危険レベルのマッサージ機なら、効果がある。


 この様子を見て、レイアはふむと考え始めた。


「今、私はすごいことを発見したのでは……?」

「どんなことですー?」

「いえ、ぴよちゃんの声がこのレベルの振動だと変化というか……」


 まだうまく言葉にできないが。コカトリスの鳴き声はまだまだ未知の部分が多い。


 もしかしたらその研究が進むかもしれない。


 もみもみ。


 うつ伏せのコカトリスの背中を揉む。

 ふわもっこな体が気持ちいい。このまま頬スリしてしまいたくなるほどに。


「ぴよー」(じーっ)


 親子コカトリスがレイアの持っているマッサージ機を見つめる。

 レイアは特に気が付かず、手揉みでコカトリスをマッサージしていた。


「ぴよよー」(そっちの棒、体験してみたいー)

「ぴよぅ!」(あたしもー!)


 どうやら親子コカトリスもマッサージ機に興味津々らしい。


「そっちの親子ぴよちゃんもマッサージ機でもみもみして欲しいみたいですよー」

「本当ですか……!? もちろんウェルカムです!」


 レイアはすすっと新しく広い台を用意する。

 ちょうどレイアを挟むようにマッサージ台が置かれたのだ。


「ささっ、こちらへ!」

「こっちに寝てくださいー」

「ぴよよっ!」(やったー!)

「ぴよっぴよ、ぴよっぴよ!」(マッサージ、マッサージー!)


 とはいえ、ヒナコカトリスにマッサージ機の刺激は強すぎるかもしれない。


「どうしましょうか……」

「こう、うつ伏せで親ぴよの前にいてもらって……羽でおおってもらえばどうですー?」

「それはいいかもですね。落ちる心配もなさそうです」


 レイアはさっと2本目のマッサージ機を取り出す。

 両手でぶるぶる震えるマッサージ機を使いこなすのだ。


「……大丈夫です? それー」

「私もタダではすまないかもしれませんが、これもぴよちゃんのためです。いざというときは頼みます!」


 草だんごをもぐもぐしながら、テテトカは頷いた。


「よくわからないけど、頑張りますー」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る