470.心臓部の木
それから30分……それぞれが台座の間を調べて結果を持ち寄った。
年代が古いのは確かだが、具体的な建造年を特定するには至らなかったらしい。
「とはいえ、いくつかこれからの課題も見つかった。あとは時間をかけて調べるしかないね」
「ライガー家にやらせるのか?」
「もちろん。お金を払えばやってくれるだろうし」
ヴィクターも羽をぴこぴこ。
「俺も一口乗ろう。海底神殿と星クラゲ、リヴァイアサンとの関係性は長期的にモニタリングする必要がある」
「それも……彼女にやらせるのですわ?」
「無論。金は払うし、問題ないだろう」
……ほろり。当のルイーゼのいないところで話が進んでいた。
まぁ、代価は払うみたいだが。
ステラは台座の間の中央にある、大樹に指を這わせていた。
「一番の問題は……やはりこの、枯れかけた大樹ですかね?」
「ふむ……やはりこの大樹が魔力の結節点みたいだな」
「ウゴ、それがこんな状態だから……ダンジョンができた?」
「周囲の魔力は、この大樹に集まるようになっていますからね。多分……その通りなのでしょう」
ちなみにぴよっぴしている像は……特に機能はなさそうだった。ぴよっぴしているだけだ。
なお、ついてきたコカトリス達は集まってすやぁしている。
「俺の魔法ならこの大樹を蘇らせることができるが、それで大丈夫か?」
ヴィクターがコカトリス達のほうに頭を向けながら、俺に答えた。
「植物魔法なら……そうか。便利だな。問題はないだろう……結節点によってダンジョンが生まれる学説は確かなものだしな」
「……どこを見てるんだ?」
「耳と口はそちらを向いているから大丈夫」
お、おう……。
他の人達も賛成ということで、さっそく魔法で大樹を復活させることにする。
魔力を集中し、俺は唱える。
「再誕の癒やし」
メキメキと音が鳴り、枯れた部分を新しく生まれた部分が覆ってゆく。
間もなく、枯れかけた大樹は蘇った。
木としては……モミの木みたいだな。
飾り付けると綺麗なクリスマスツリーになりそうだ。
ステラが興奮気味に、
「魔力が流れ始めましたね……! 良かったです!
」
「ウゴ! 元気になった!」
俺にも今ならはっきりわかる。
この大樹が心臓部だったわけだ。
「詳しい調査はまた別として、とりあえずは終わりか」
「そうなるね。あとはルイーゼにやらせるとして……一旦戻ろうか」
見ると、たぷコカトリスが半分目を開けていた。
「……ぴよ」(……おやつ)
「ぴよよ……」(また、たぷっちゃうよ……)
「ぴよ……」(それもそうか……)
うむ。
まだ起きる気配はないな。
少し休憩したら、コカトリスを連れて船へと戻ろうか……。
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