452.投球と移動案
「ウゴー!」
「そうです! ナイスコントロール!」
「ウゴウゴ、ありがとう!」
ウッドとステラは投石攻撃で星クラゲを着実に減らしていた。
「ぴよぴよ……」(せっせ……)
「ぴよっぴ!」(ねくすと、石!)
やはり力仕事をするとコカトリスは凄いな。
どんどん石を渡していく。
「えーい!」
ステラは百発百中だな。
流れるような投球ホームだ。
「さすが、投石の祖だね」
ナナが七色の鞭をびゅんびゅん振るいながら呟く。
「投石の祖?」
「うん。冒険者で投石は基本技能のひとつなんだけど」
「……そうなのか? いや、投石は最後の攻撃手段か……」
確か前世の本で読んだことがある。
人がマンモスや他の大型動物に勝てたのは石を投げられたからだと。
それほど投げる、という行為は強いのだ。
「そういうこと。立派なサバイバル術なのさ。だけどそれを本格的に取り入れたのは、ステラがやり出したからだとか……」
「そうなのか……。まぁ、ステラとしたら投石は高効率な遠距離攻撃だろうしな」
横目でステラの投石を眺める。
これだと弓や弩はいらないのではないか?
どう考えても投げたほうが早そうだ。
「ふぅ……!」
「ウゴ、いなくなった?」
気が付くと、星クラゲはいなくなっている。
どれくらい倒したのだろう。
100体は超えていたと思うけれど。
「打ち止めか……」
「そうだね。僕の望遠鏡でも確認はできない。ひとつの群れは倒し終えたかな」
ナナが七色の鞭をお腹にしまう。
やはり便利な魔法だな……。だが収納魔法は適正がないとここまで便利にならない。
適正を増やす手もなくはないのだが……。
「怪我をした人はいないな? 星クラゲの来た方角へ向かおう」
ポーション類はナナの着ぐるみに収納している。
ある程度の魔力消耗も大丈夫だ。
「では……向かうなら、やはりあれですか」
「……あれ?」
「…………」
ん?
ナナが目をそらした。
「あっ」
「そうです! ダンジョンは意外と広いですから。ばびゅーんと進むのが効率的です!」
ステラがぐっと拳を握る。
「ぴよちゃんの山なら、わたしがどうにかしますから……!」
「ぴよぴよ」(あいきゃん、ふらい?)
ジェシカがちょこんと手を上げた。
「……いえ、私が考えるにですわ? 博士の風魔法で空を飛べばいいのでは……ですわ?」
「ふむ、そうだな。これくらいなら問題なく運べる。ただ、空で襲われたら俺は応戦できないが」
「……ということだ」
俺はぽむっとステラの肩を叩く。
「ううっ……そう言われるとそうですね……」
「ウゴ、でもぴよ達は背負えるから……」
……?!
「そう言われると……そうですね……!」
ステラがぐっと前に出る。
「危なくないよう、わたしがロープで繋いで責任持ちますね……!」
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