430.掃討

「……よし、とりあえずこの群れは対処できたか。次の群れに行こう」


海面を見るともう星クラゲはいない。

網で全て引き上げられたようだ。


「問題があれば僕達に知らせてくれるはずだから、大丈夫だね」

「ああ……渦についても何も言ってこないし」

「海面への影響はないように回りました!」

「さすがステラだ」


ぴこぴこ。

羽を動かしてステラを褒める。


「えへへ……あっ、向こうに」


ステラが指差した先にキラキラと光るのが見える。

もう次の群れがいるようだな。


「あの奥にも星クラゲがいるね。コカトリスが向かっているみたいだけど」

「ウゴ、ひとつずつ倒していくんだね……!」


ウッドの言葉に皆が頷く。


「よし、それぞれ手分けしながら群れを倒していくぞ!」

「「おーっ!」」



それから、星クラゲの討伐は順調に進んでいった。


海面からコカトリスがくるっと回転しながら、飛び出してくる。

シンクロナイズドスイミングのように。


「ぴよぴよー!」(この下に数十のクラゲがいるよー!)

「この下に数十のクラゲいるぴよよ!」


連絡役としてディアとマルコシアスも大活躍である。


「くむくむ……東の方向にまた別のコカトリスがいるんだぞ」

「東ですね! お願いします!」

「あいよー」


レイアの呼び掛けにルイーゼが答え、風の魔法が発動する。

つむじ風が吹き、レイア達が浮かび上がる。


「はやぴよ!」

「空を飛んでショートカットなんだぞ」

「こっちのほうが速いからな。さくさく行くぞ」

「ありがとうございます!」


船から船へ、空を飛んで移動する。

ここまで自由に魔法を操れるのは大貴族ならではだろう。


「あっ、いました!」


海に背泳ぎしているコカトリスがいた。

羽をバタバタさせて、アピールしている。


「ぴよ〜!」(このけっこう下にクラゲがいるよー!)


ディアが正確にそれを聞き取る。


「ぴよ! またあの仲間の下にクラゲがいるぴよ!」

「おう、けっこーいるんだな……」


ルイーゼは魔法に集中しながら答えた。

各方面で網入れが始まり、どんどん星クラゲが捕獲されていた。


どうやら順調に進んでいるようだ。


「次は……西の方だぞ」

「わかった、掴まってろよ!」


ルイーゼの風魔法で再び空を飛び回る。

おかげで伝令もスムーズに行く。


そうして一時間が経った頃、マルコシアスの誘導で

船団の端にきた。

ここにも1体のコカトリスが海面から頭と羽を出している。


「ぴよー!!!」


ルイーゼの魔法でディア達が駆けつけると、相当慌てていた。


「……どうしたのでしょう?」


レイアの言葉にディアも声を上げる。


「ぴよよ! おっきなお魚が近づいてる、そう言ってるぴよ!」

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