異世界転生したい俺は何度でもトラックに轢かれる
漆黒のシュヴァルツブラック
プロローグ
峯岸海斗は空っぽだった。
小学校の初恋の相手に中2で再開し、告白したら「誰ですか?」と返されたあの日から。
その日から彼はいつも笑顔を向けてくれる二次元に逃げた。陽キャとの付き合いもやめた。好きだった吹奏楽にも身が入らず、幽霊部員になった。オタクの話相手は出来たが、みんな自分勝手な理屈で、話していてもそこまで楽しくなかった。そのうち一人になれてしまい、そのまま高校に上がった。唯一の救いの二次元にも飽きてきた。自分の好きなアニメがネットでズタボロにいわれ、とうとう打ち切りになったからだ。二次元やその界隈に、救いや楽しさを求めることを諦めてしまったのだ。
そんなある日、彼は偶然見つけたソーシャルゲームに不思議と吸われるように手が伸びた。人間関係に愛想を尽かし、二次元にも飽きた彼が何故か興味を示した。それは、偶然ではなく、必然であったかのようにー
これは、この話は、それから2年後の話…
「くそ!俺とした方が!なんたる不覚‼︎」
今日から大人気異世界転生系ソーシャルゲーム『軍艦姫士』の大規模イベントが開催されるのだが…
「まさか寝坊するとは!いくら3連休とはいえ
16位の俺がやることじゃねぇ!」
そう叫びながら走る俺を近所の人はまたかと微笑み、見慣れない人はいかにもドン引きしてそうな顔をしている。
俺の名前は峯岸海斗。この街、セントラルアストラエアー通称SAの28区画の一つ、榊原区に住む高校2年生。『軍艦姫士』の100万人のプレイヤーの中で、16位の戦績を持つ、上位ランカー『Emperor』の中の人だ。
今は課金カードを買いにコンビニにダッシュしているところなのだが…
「よし、あの横断歩道を渡れば…って赤か…ん?」
よく見ると、横断歩道の真ん中近くに子猫が歩いている。向こう側には、渡りきった親猫が必死に急げと鳴いている。それもそのはず。子猫の20m先にはそれなりに速いトラックが突っ込んでくるからだ。
「危ない!」と言おうとしたが、その時、頭の中で二人の俺が会話をはじめ、俺の行動を邪魔した。
「こんなベタなシーン。このまま猫を助ける為に横断歩道に突っ込めば、俺も異世界転生できるんじゃないか!?」
「でも、もし失敗したら、ソシャゲどころか、命だって危ないんじゃ…」
「じゃあ子猫はどうでもいいのか!?」
「そういうわけでは…」
このままでは子猫が轢かれてしまう。
走り出そうかうじうじしていた俺の横から…
「危ない!」
一人の少女が飛び出した!
だが、いくら必死とはいえ少し遅い。このままでは子猫は助かっても彼女は助からないのではないか。そう思うより先に体が動いていた。そして…
「きゃああああ!」
「大丈夫か!おい!大丈夫かー!」
「はい、事故です!男の子がトラックに撥ねられて…」
悲鳴や俺を気遣う声が聴こえる。救急車を呼ぶ声もするし、多分大丈夫だろう。そういえば、猫とあの娘は?潰れた右目は見えないので、左目で探す。と、驚いた顔の少女とその腕に抱かれて、無邪気に暴れる子猫が見えた。微笑みたかったが、痛みで頬が強張っている。
子猫と目があった。すると子猫は俺をみて、どこか笑っているように見えた…
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お初にお目にかかります。クロです。
ペンネームは漆黒のシュヴァルツブラックですが、和訳すれば黒の黒い黒なので、クロとお呼び下さい。
作品についてですが、みてわかる通り、連載ものです。趣味でやってるので、書籍化とかは全く考えていません。この後どう続くんでしょうか、楽しみです。未来の僕が、どんなアイデアを出してくれるのか、僕も気になっています。
投稿頻度は分かりませんが、余り早くはないです。暇な日と忙しい日が不定期にくるので。
一応一週間に2〜4話ずつくらい出す予定です。
それではまたお会いできる日まで。
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