ロケーションDー2 #おにぎりの日の翌日
【登場人物】
坂本 章(18)……学生
佐倉 菜花(18)……アイドル
鮎川 まりな(29)……アイドル
水森 あの子(20)……アイドル
【あらすじ】
早朝、坂本くんはおにぎりを握ろうとして、さくらに声をかけた。
しかし、さくらはおにぎりを握ることを拒否した。
前日は『おにぎりの日』だったが、今日は何でもない日だ。
さくらが拒否したのは、おにぎりがオワコンだから。
仕方なくお弁当は、全て坂本くんが用意することになった。
坂本くんはスマホを片手に、メニューを検索。
何かを見つけて笑った。
さくらと坂本くんはロビー前で待たされた。
待たせたのは、まりなとあの子の2人。
2人が遅れた理由は、お弁当を詰めていたから。
東京駅に移動する途中。
まりなとあの子はお弁当を用意したことを坂本くんに話した。
坂本くんは、まりなとあの子をベタ褒め。
それがさくらにはおにぎりを握らなかった自分への当て付けのように感じた。
新幹線に乗り込んだ4人。さくら以外の3人は3列シートにびっくりした。
さくらはどや顔で、グランクラスという高級車両であることを説明した。
(ナ)「これは、少し未来の物語。ロケーションDー1の翌日」
◯佐倉のホテル・佐倉の部屋・キッチン(早朝)
昨夜下ごしらえした食材が並ぶ。
坂本「折角だし、とっとと握っちゃおうよ!」
さくら「イヤ! 私、そんなうっかりさんじゃない!」
坂本「うっかりさんって、どうしてさ」
さくら「絶対にイヤ! 兎に角イヤ! イヤったらイヤ!」
坂本くん「お米も盛大に炊いたし、もったいないよっ!」
さくら「おにぎりなんかオワコンよっ!」
坂本「色々な人に怒られるよ、それ!」
さくら「返り討ちにするまでよ。山吹さくらは無敵なんだから!」
ため息混じりに、坂本。
坂本「仕方ない。俺1人で何とかしよう……。」
坂本、スマホで検索し、何かを見つける。
坂本、スマホの画面に釘付けになる。
坂本(M)「(笑顔で)よしっ、これなら食材も無駄にならないぞ!」
◯佐倉のホテル・ロビー・屋内(早朝)
五月晴れ。人もまばら。
(ナ)「さくらとあゆまりとあの子の3人は、朗読会に招かれた」
(ナ)「付き添いの坂本くんを加えた4人は、移動のため待ち合わせ」
さくら、つま先をトントン動かしながら、
さくら「ったく、2人とも遅い! 5分前行動しなさい。置いていくわよ!」
まりなとあの子、大きな荷物を持ってロビーに向かって走る。
まりな「(どや顔で)そんなことされたら現場にたどり着けなくなっちゃうわ」
あの子「(どや顔で)奇遇です。私もムリですよ!」
さくら、肩をすくめてお手上げのポーズをとる。
さくら「(呆れて)何、ドヤってるのよ。バカあほがぁ!」
坂本「まっ、まぁまぁ。相手はあゆまりさんとあの子さんだから……。」
4人、歩き出す。
向かって先頭、さくら。
その後方右、まりな。左、あの子。
坂本、最後方を歩く。
まりな「あっ、そうだ。私、お弁当作ってきたんですよ!」
まりな、お弁当箱の入ったバッグを見せる。
あの子「(驚いて)きっ、奇遇です。私もほら……。」
あの子、まりなのバッグの横に自分のバッグを並べる。
坂本「ヘぇーっ! がんばったね、2人とも!」
2人、声を揃えて、
まりな「はい!」
あの子「はい!」
坂本「うんうん。誰かさんとは大違い!」
さくら(M)「なっ、何よ坂本くん。私に対するあてつけ?」
◯新幹線はやぶさ号・車内(早朝)
坂本「あれ? 新幹線の座席って、5列じゃないの?」
まりな「はい。私もそう思ってました!」
あの子「グリーン車だと4列ですけどね」
胸を張る、さくら。
さくら「(どや顔で)はやぶさにはグランクラスがあるのよ。今日は貸し切りよ!」
坂本、まりなやあの子と顔を見合わせて、
坂本「グランクラス? 聞いたことないよ」
さくら「(どや顔で)そうね。私も乗るのははじめて。とにかく豪華なのよ!」
まりな「さくらんは、移動は電車が多いの?」
あの子「奇遇です。私もそれ、聞きたかった!」
右手親指をたてて自分に向ける、さくら。
さくら「(どや顔で)2人とも、私のステルス性能をお忘れ?」
まりなとあの子、顔を見合わせる。
まりな「でもどうして青森で仕事なの?」
あの子「奇遇です。私もそれ、聞きたかった!」
さくら「(おこ顔で)何? その盛大な無視は!」
坂本「まっ、まぁまぁ。相手はあゆまりさんとあの子さんだから……。」
(ナ)「このときの4人は、この日がラブコメな1日となることをまだ知らない」
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