割れたダイヤ

まーる。

第1話 始まり(はつみ)

8月の札幌は朝からジメジメする・・・。

暑くて目が覚めた。

今日は仕事が休みなので11時近くまで寝入っていた。

本当はまだ寝ていたかったが、西向きの寝室は既に30℃になっている。

娘の部屋が南向きなのでまだ暑くなっていないはずだ。

私のほうがいつも先に起きる理由は暑さに耐えられず部屋から出るからだ。

下へ降りるとテン(犬)が待ってましたと吠えてくる。

自分の水分補給をする前にテンに餌と水を交換し、リビングの窓を開ける。

風が思った以上にぶわーっと入ってきた。

カーテンが大きく波を打つ。

ひらひらと風が室内を抜けていく様子が相変わらず好きだ。

窓を開けると庭には猫の額ほどのドッグランがあり

少し開いてしまった網戸から

待ってましたと言わんばかりにテンが庭に走り出す。

今日に限っていつも気を付けていた網戸まで開いた。

普段は同時には開かないのに。

なんか嫌な予感がする・・・

(あー、また足を拭かなきゃいけない・・・)

テンが戻ってくる前に冷蔵庫から自分の飲み物を取り出す。

麦茶が美味しい。もう何十年も小さいころからこの麦茶を飲んでいる。

もっと小さな容器にしようかな。この家で麦茶を欲するのは私だけになっちゃったし。

水だししてから数日たつと麦茶は味が変わる。まずいと感じると残っていても捨ててしまう。毎回もったいないと思いつつも容器を小さなものに変えれないのには私なりの意地があった。

あー今日も一日が始まるのか・・・

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