第3話

「それでは今から、最低限のお話をしますね。まず私たち能力者は全部で10人います。10人の中には序列があります。私たちは最後の1人まで殺し合います」

「最後の一人になれば世界が救えるのか?」

「世界って。ミアさん……違います。最後の1人はなんでも願いを叶えられます」

「なんでもって…ギャルのパンティならともかく、死者復活とか言ったらどうするんだよ」

「わかりませんが、おそらく可能です」

「資金的な問題もあるだろ」

「いえ、それも多分ないと思いますよ」


 ここまでは、軽い冗談の気持ちで話を進めていたがどうにも胡散臭い。だが、詐欺や美人局にしてはあからさま過ぎる。にしたってどうして俺を巻き込むのか…


「なあ、仮に全て真実だとしても俺にはその記憶はないし、全て嘘だったとしても俺にはその設定に付き合う気力はないぞ」

「確かにな。お前には記憶がないからな」


 今のは遠回しにお前らに付き合ってる暇はねえ!という意味だったんだが…


「記憶ならきちんとあるっつうの。小、中、高と、それなりに過ごした…」

「で、あろうな。君が記憶を失ったのは高校入学直前、それも戦いに関することだけだ」

「はあ…」

「ところで、少年、名前は何だったかな?」

「唐突になんだよ?」

「いいから言ってみろ」

佐々木ささきこのえ」

「ふむ。では一つ、教えてやろう。お前の記憶を奪ったのは佐々木ともえ。『奪うコト』の能力者だ」

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