第44話

だ〜め、待って 3/3



俺は、ハルトを味わっていた。

甘い蜜に、花の香り。

溺れてしまうハルトの魅惑のモノ。

「んんっ~かららが、ベトベトォ~

気持ちわりゅい、お風呂はいりゅ。」

「身体がベトベトなんだな。よしよし、

キレイにする魔法かけてあげるからな。」

「や~、お風りょ、はいりゅの。」

「おふろ?」

「おっき~箱に、あったか~い、

お湯~入ってりゅの。」

「ん?あったか~い、お湯…。

シャワールームの事か?」

「うーん、シャワーしゅる。」

「わかった、使えるように準備させる。」

「ありゅがちょー、ヒューだーいちゅき。」

ちゅう。

「バードキスだから、足りないんだな。

たっぷり愛し合おう。」


シーツにハルトを優しく包み

お姫様抱っこでシャワールームに着いた。

脱衣室の棚には、ふかふかのバスタオルや

香油、着替えがなどが準備されていた。

「ほら、ハルト着いたよ。」

「……。」

「ちがぁう、おふりょが、ちがぁうの。」

「ちがうのか?」

一年を通して20度前後の気温の

リストン王国では、王族や貴族に

シャワールームはあるが

お風呂文化はなく、魔法で身体を清めたり

シャワーや水浴びをしたりする程度だった。

その為、可愛いハルトが言う"お風呂"が

理解出来ないヒューゴであった。


「すまない、"'お風呂"が何かよく

わからないんだ。俺ら…この世界では、

魔法やシャワー、あと水浴びで身体を

清める程度なんだよ。」

「うーん、わっかぁんな~い、

まほ~のおふりょ、いでぇよ、

おーきにゃ、おふりょ。」


ゴゴゴコゴゴコゴコォォ~。

しばらく、地響きが続いた。

それは広いカナップ侯爵領にもなり響いた……。


ヒューゴは絶句した。

さっきまで何の変哲もなかった

シャワールームが、見たこともない

形の池?景色になり、ありえない広さに

なっていた。

「空間魔法を無意識に使ったのか?」

ハルトとヒューゴの目の前には、

露天風呂、岩風呂、ツボ湯、

ジェットバス(魔法版)、打たせ湯

寝転び湯、ハーブ湯など、まるで

スーパー銭湯の造りになっていた。

「にゃんか足りにゃい。う~。」

目を閉じて何かを考えているようなハルト。


突然、木の棚に不思議な色のカゴが並んだ

脱衣室に膨大な魔力の塊を感じた。

魔力の塊は形を変え始めソファー?だが、

座る位置の背中から足置き部分まで、

うねうね動いていた。

「出来たぁ。毎日、おちゅかれしゃま。

ヒュー、しゅわって。」

「しゅわ…?」

「早くぅ~そこぉ、しゅわりなしゃい。」

「は、はい…。」

恐る恐る、ソファーに座ったヒューゴは、

あまりの気持ち良さに、イッてしまった。

「な、なんだ?!コレは?!

人をダメにするソファか?」

「頑張って、ちゅくったのに…ひどい。」

涙を浮かべたハルトは、ふらふらしながら

立ち上がり、"お風呂"というものに

行こうとした。もちろん裸で…。

「ハルトすまない、あまりの気持ちよさに

驚いただけだよ。ありがとう、俺なんかの

為に作ってくれたんだな。」

「俺にゃんかって言っちゃあ、らーめ。

後ろかりゃ、ぎゅーしてくれなきゃ、

ちゅーしちゃ……。」

「えっ?ハ、ハルト…。」


ドドドドドドドドドドッ……。

バァーン。


「「……。」」

「「「……。」」」

".お風呂場"になったシャワールームに

野太い叫び声が響いた。

裸のハルトと、ヒューゴ。

そして服を脱ぎかけのママ達と、裸の侯爵。

しかも裸の侯爵はキャサリーママに

お姫様抱っこされていた?!

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