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その中に、毒見という男がいた。



歳は二十三、着ている黒いコートは、気品が漂うもので、さわやかな好青年といった印象を与えていた。



午後三時十五分、あんパンの販売が開始される時間になった。



店内から販売開始を告げるの大きな叫び声か響き渡り、店内があわただしくなってきた。



時間が経過するとともに長かった列は、次第に短くなっていく。



毒見が人ごみにもまれながら、あんパンを買って店から出たのは、それから三十分後のことだった。

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