婚約破棄に逆らえってな!

ニート

第1話

 わたくしの名前はアリーチェ・モンデベルディ。

結婚式を直前に控えていた王家の令嬢であったわたくしは偶然にも王太子と見知らぬ女性が歩いているのを目撃してしまう。それをすぐさま問い詰めるも逆に王太子を激昂させてしまいそのまま婚約破棄を告げられた上、王家からも追い出され無一文で新たな職をさがさなくてはならなくなるも箱入り娘として育てられてきた彼女には何のスキルもなく……とあらすじ通りのことになってしまっているため現在求職中の真っただ中であるのだが応募した44社はみごとに撃沈してしまった。ある1社を除いては……


***


「アリーチェ・モンテベルディ19歳です。よろしくお願いします!!」


「えーと、モンテベルディさんは大卒で職歴はなし……アルバイトとかは?」


「アルバイトの経験はありません。」


「資格は……と、普通自動車免許(MT)のみですか……うーん採用!! では早速明日から来てもらえるかな?」


えっ……いままで43社を書類だけで落とされてきたこのわたくしがこんな簡単な面接で合格……ちょっと信じられない……


「え、えーとそれって合格ってことで良いんですか!?」


「もちろんそうだよ、合格」


えぇええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!?


やったぜ。って素直に喜んでよいのだろうか、もしかしてとんでもないブラックな会社なんじゃ……でもここしか受からなかったんだからブラックでもなんでももうやるしかないじゃん、アゼルバイジャン!


***


そうして次の日の朝、わたくしは出社する日を迎えた。服装はスーツなどではなく動きやすい服装であれば何でもオッケーということ、スカートが多かったものもそういうことなら数少ないパンツにして出かけることにした。


「おはやうございまーす、今日から入社することになったアリーチェ・モンテベルディと申します、ふつつかものですがよろしくお願いしまーす!!」


……シーン……


うわ、なんだこの社員、一目でわかる陰キャのチー牛じゃん……


「あ、こちらこそよろしくっす、昨日ディレクターが言ってた方っすよね?」


「はい、そうだと思いますけど……」


「あのー、ここの社員って全部で……」


「あっ、ぼくとディレクターとあなたで3人になりまっす」


……うわーこんな連中二人と仕事していかなきゃならいないのかぁ……これは先が思いやられるなあ……。


「それでですけど、ここ映像制作の会社と伺ったのですが具体的にどういったものを作ってるんでしょうか?」


「あ、うちは心霊ものっす」


心霊もの……!?


「心霊ものって幽霊とか妖怪みたいなのを作るってことでしょうか?」


「あー、まあというか実際にぼくらで幽霊とか妖怪とかを見つけたり捕まえたりして撮影するってことっすね。」


……えぇえええええええええええええええええええええええええええええええええええええ……!?

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